塩化アンベノニウムの効能・作用……効能は『重症筋無力症』です。
人間の筋肉運動(骨格筋の運動)と相関している物質には、神経伝達物質である“アセチルコリン”とそのアセチルコリンの働きを抑制する“アセチルコリンエステラーゼ”という物質がある。アセチルコリンの分泌によって骨格筋の運動が促進され、アセチルコリンエステラーゼの分泌によってその運動が抑制される。
人間の筋肉運動はこの二つの物質によってかなり規定されているのだが、筋肉に力が入らなくなってくる筋無力症の患者では『アセチルコリンによる情報伝達』が抑制されていて、アセチルコリンエステラーゼの働きが強くなり過ぎているという生理学的変化が見られることが多い。塩化アンベノニウムという薬剤は、骨格筋の運動を抑制するアセチルコリンエステラーゼの働きを弱める作用を持っており、この作用によって運動神経系を促進させるアセチルコリンの働きを活発にしようとするのである。
塩化アンベノニウムの商品名……マイテラーゼ(アルフレッサファーマ)
平均的な用法・用量……1回5mgを3回。塩化アンベノニウムの効果は服用して30分後から現れて約6時間ほど持続するが、『中枢神経系・内分泌系の障害』を伴う筋無力症の原因そのものを治療することはできない。
副作用……下痢,腹痛,めまい,頭痛,吐き気,嘔吐,動悸,発汗,疲労感・倦怠感,縮瞳など。
重大な副作用(発症頻度は低い)……コリン作動性クリーゼなど。コリン作動性クリーゼとは、塩化アンベノニウムなどの抗コリンエステラーゼ剤の投与で、コリンエステラーゼ(副交感神経)が過剰に抑制されることで発生する副作用で、コリン系(交感神経)が過剰に興奮してしまい『呼吸困難・けいれん・意識障害』が起こることもある。
注意・禁忌……『注意を要する人』は、気管支喘息や甲状腺機能亢進症、てんかん、心臓疾患、徐脈、糖尿病、パーキンソン病の既往がある人,妊婦など。
『処方してはいけない禁忌』は、本剤で過敏症を起こしたことがある人,消化管や尿路に器質的閉塞がある人、迷走神経緊張症の人、塩化スキサメトニウムの投与を受けている人など。
トップページ> 薬の説明> 薬の事典> 現在位置
心の問題, Encyclopedia
プライバシーポリシー