ゾピクロンの効能・作用・副作用

ゾピクロンについての基本情報

ゾピクロンの効能・作用……効能は『睡眠障害(不眠症・入眠困難・熟眠障害・中途覚醒)・麻酔前投薬・不安感や緊張感』です。中枢神経系(脳)に作用することで、脳の過剰な興奮・覚醒を抑制して自然に近い睡眠へと誘導する薬です。

ベンゾジアゼピン系(BDZ系)とは異なる『シクロピロロン系』の比較的安全な睡眠薬であり、適度な鎮静・催眠効果を発揮しつつも目覚めた後の副作用が少ないという利点があります。フランスの製薬会社ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)が開発した睡眠薬で、『筋弛緩・依存性の副作用』が弱くて安全な薬とされています。

ゾピクロンの薬理機序はベンゾジアゼピン系とほぼ同じで、中枢神経系のGABA受容体に作用して結合することで、催眠・鎮静といった効果を発揮します。催眠作用と深い関連があるω1受容体(オメガ1受容体)と選択的に結合する性質を持っていますが、その一方で『記憶障害(健忘)・筋弛緩・抗不安』といった作用を示すω2受容体との親和性は低いとされています。

ゾピクロンは作用時間がもっとも短い『超短時間型の睡眠薬(血中半減期は約3.7時間)』に分類されています。特に、入眠障害(入眠困難)に悩んでいる患者に対して効果的であり、筋弛緩(脱力・ふらつき)の副作用が弱く抑えられているので、転倒の危険がある高齢者にも処方しやすくなっています。

ゾピクロンには、『入眠まで(入眠潜時)の時間短縮・深い睡眠の増加・総睡眠時間の延長』といった効果が確認されています。超短時間型の睡眠薬なので、重症・慢性の睡眠障害よりも、一過性・短期的な睡眠障害の改善に向いています。基本的に対症療法薬なので、睡眠障害の原因になっているストレス・不安の緩和、身体疾患・生理学的異常・精神疾患の治療なども合わせて行っていく必要があります。

ゾピクロンの商品名……アモバン(サノフィ・アベンティス)、アモバンテス(小林化工・全星薬品・マイラン製薬)、アントマイリン(東和薬品)、スローハイム(共和薬品)、ゾピクール(沢井)、ゾピバン(長生堂)、ドパリール(キョーリンリメディオ)、メトローム(辰巳化学)

平均的な用法・用量……1回7.5~10.0mgを就寝前に1回服用するが、『年齢・症状・病態』によって分量は調整する。

副作用……眠気、めまい、脱力感、ふらつき、苦味(味覚の異常)、倦怠感、口渇、頭痛・頭重、不快感など。眠気やふらつき、めまいなどの副作用があるので、『車の運転・機械の操作』といった危険な作業はしないようにしてください。

この薬は目覚めた後の副作用は、睡眠薬の中では軽い方に入ります、しかし、薬の影響である眠気やふらつき、思考力低下(集中困難・反射神経の低下)が、翌朝以降にまで持ち越されることがあるので注意してください。アルコールとの併用は禁忌です。

重大な副作用(発症頻度は低い)……依存症(本剤は耐性の形成はしづらいとされるが長期連用で依存性が生じることがある)、離断症状(急に断薬すると不眠・不安・イライラ・パニック・振戦・幻覚などの症状がでる危険性がある)、呼吸抑制(炭酸ガスナルコーシス)、錯乱、夢遊病、意識障害など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、腎機能障害、心臓疾患、脳の器質障害、体力低下のある人、薬物過敏症の既往がある人、妊婦など。他の向精神薬を服用している人は相互作用に注意する必要がある。

『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症や急性閉塞隅角緑内障、喘息・肺気腫で呼吸機能低下がある人、睡眠時無呼吸症候群、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

Copyright(C) 2013- Es Discovery All Rights Reserved