ゾルピデム・酒石酸ゾルピデムの効能・作用・副作用

ゾルピデム・酒石酸ゾルピデムについての基本情報

ゾルピデム・酒石酸ゾルピデムの効能・作用……効能は『睡眠障害(不眠症・入眠困難・熟眠障害・中途覚醒)』です。効能が睡眠障害全般に及ぶもっともポピュラーな超短時間型の睡眠薬の一種ですが、『統合失調症・双極性障害(躁うつ病)に伴う重い睡眠障害』には処方されないことになっています。中枢神経系(脳)に作用することで脳の過剰な興奮・覚醒を抑制して、自然に近い睡眠へと誘導する薬です。

非ベンゾジアゼピン系(非BDZ系)の比較的安全な睡眠薬であり、適度な鎮静・催眠効果を発揮しながら、筋弛緩・抗けいれんの作用に付随する副作用が少ないという特徴があります。GABAのベンゾジアゼピン受容体(Cl-イオンチャンネル複合体)のサブタイプである『ω1受容体(オメガ1受容体)』に選択的に結合する性質を持っていて、ω2受容体に関係する筋弛緩作用が起こりにくくなっています。

ゾルピデムは作用時間がもっとも短い『超短時間型の睡眠薬(血中半減期は約1.78~2.30時間)』に分類されています。即効性があるので、入眠障害(入眠困難)に苦しむ患者に対して効果的な薬です。筋弛緩(脱力・ふらつき)の副作用がでにくいメリットがあり、入眠障害・熟睡障害だけではなく早朝覚醒・中途覚醒に対しても有効性が確認されています。

ゾルピデムを1日1回就寝前に5~10mgを7~21日間連続投与した場合、入眠障害・熟睡障害では60%以上の改善が報告されており、早朝覚醒・中途覚醒においても50%以上の患者が不眠症状の苦痛が緩和されたとしています。

ゾルピデム・酒石酸ゾルピデムの商品名……マイスリー(アステラス)

平均的な用法・用量……1回5.0~10.0mgを就寝前に1回服用するが、『年齢・症状・病態』によって分量は調整する。

副作用……眠気(昼間の眠気)、めまい、脱力感、吐き気・嘔吐、気分高揚、倦怠感、口渇、頭痛・頭重、不快感、動悸、疲労など。眠気やふらつき、めまいなどの副作用があるので、『車の運転・機械の操作』といった危険な作業はしないようにしてください。

薬の影響である眠気やふらつき、思考力低下(集中困難・反射神経の低下)が、翌朝以降にまで持ち越されることがあるので注意してください。アルコールとの併用は禁忌です。

重大な副作用(発症頻度は低い)……依存症(本剤は耐性の形成はしづらいとされるが長期連用で依存性が生じることがある)、離断症状(急に断薬すると不眠・不安・イライラ・パニック・振戦・幻覚などの症状がでる危険性がある)、呼吸抑制(炭酸ガスナルコーシス)、錯乱、肝機能障害(黄疸)など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、腎機能障害、心臓疾患、脳の器質障害、体力低下のある人、薬物過敏症の既往がある人、妊婦など。他の向精神薬を服用している人は相互作用に注意する必要がある。

『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症や急性閉塞隅角緑内障、喘息・肺気腫で呼吸機能低下がある人、睡眠時無呼吸症候群、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

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