トリアゾラムの効能・作用……効能は『睡眠障害（不眠症・入眠困難・熟眠障害・中途覚醒）・麻酔前の処置』です。トリアゾラムは服用してからすぐに眠くなってくる切れ味の鋭い即効性が特徴であり、もっともポピュラーな超短時間型の睡眠薬の一種です。中枢神経系（脳）の大脳辺縁系や視床下部に作用することで、脳の過剰な興奮・覚醒を抑制して、自然に近い睡眠へと誘導してくれます。
ベンゾジアゼピン系（BDZ系）の比較的安全な睡眠薬であり、『入眠障害（入眠困難）』に対する鎮静・催眠の効果が強くなっています。トリアゾラムは『入眠障害（入眠困難）』に効果がある一方で、睡眠相の後半で一気に血中濃度が下がってしまうので、『中途覚醒・早朝覚醒』に悩んでいる患者には適さない薬です。朝に起きる時の血中濃度が０に近くなるため、眠気・ふらつき・残眠感の副作用はほとんどありません。
トリアゾラムはGABAのベンゾジアゼピン受容体に結合することで薬理作用を発揮するが、『ω1受容体（オメガ1受容体）』と『ω2受容体（オメガ2受容体）』の両方と結合する性質を持っています。トリアゾラムはω1受容体と結合することで『催眠作用』、ω2受容体と結合することで『抗不安・筋弛緩・健忘の作用』を発揮することになります。
トリアゾラムは作用時間がもっとも短い『超短時間型の睡眠薬（血中半減期は約2～4時間）』に分類されています。服用してまもなく効き始める即効性があるので、入眠障害（入眠困難）に悩んでいる患者に対して効果的な薬です。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は用量依存的なので、超短時間型のトリアゾラムであっても、大量に処方・服用すると作用時間が延長される可能性（起きてから眠気・ふらつきの副作用が残ること）があります。
トリアゾラムの商品名……アサシオン（長生堂，日本ケミファ）、アスコマーナ（日新‐山形）、カムリトン（寿）、トリアゾラム（エルメッドエーザイ，鶴原）、トリアラム（小林化工）、ネスゲン（辰巳化学，マイラン製薬）、ハルシオン（大日本住友，ファイザー，大洋薬品）、ハルラック（共和薬品）、パルレオン（大洋薬品，マルコ）、ミンザイン（日医工）
平均的な用法・用量……1回0.25mgを就寝前に1回服用するが、『年齢・症状・病態』によって分量は調整する。
副作用……眠気（昼間の眠気）、めまい、ふらつき、健忘、倦怠感、口渇、頭痛・頭重、不快感など。眠気やふらつき、めまいなどの副作用があるので、『車の運転・機械の操作』といった危険な作業はしないようにしてください。
薬の影響である眠気やふらつき、思考力低下（集中困難・反射神経の低下）が、翌朝以降にまで持ち越されることがあるので注意してください。アルコールとの併用は禁忌です。
重大な副作用（発症頻度は低い）……依存症、離脱症状（急に断薬すると不眠・不安・イライラ・パニック・振戦・幻覚などの症状がでる危険性がある）、激越・激怒、呼吸抑制（炭酸ガスナルコーシス）、錯乱・興奮、夢遊病、幻覚・妄想など。
注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、腎機能障害、心臓疾患、脳の器質障害、体力低下のある人、薬物過敏症の既往がある人、妊婦など。他の向精神薬を服用している人は相互作用に注意する必要がある。
『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症や急性閉塞隅角緑内障、喘息・肺気腫で呼吸機能低下がある人、睡眠時無呼吸症候群、本剤で過敏症を起こしたことがある人。イトラコナゾールやフルコナゾール、抗HIV剤（リトナビル，インジナビル，エファビレンツ）を服用している人。