ラメルテオンの効能・作用・副作用

ラメルテオンについての基本情報

ラメルテオンの効能・作用……効能は『睡眠障害(重症度の低い不眠症)』です。ラメルテオンは松果体ホルモンのメラトニンのメラトニン1型受容体、メラトニン2型受容体に選択的に結合する特異的な薬であり、『生体時計の概日リズム』を正常化させることで、自然に近い睡眠へと誘導してくれます。

ラメルテオンはベンゾジアゼピン系の睡眠薬とは全く異なる薬理機序を持っているメラトニン(睡眠・概日リズムを司る生体ホルモン)と同じような生理学的作動をする薬であり、『乱用・耐性・依存症』などの睡眠薬の副作用が殆ど生じないというメリットがあります。メラトニン1型受容体は、視交叉上核の神経発火を抑制する働きをしており、メラトニン2型受容体は、生体時計の概日リズムの調整に関係していることが分かっています。

ラメルテオンはメラトニン1型受容体の親和性がメラトニンの約6倍あり、メラトニン2型受容体の親和性はメラトニンの約3倍あるため、メラトニン以上に強い催眠作用・概日リズム調整作用を持っていると考えられています。ラメルテオンの血中半減期は約1時間であり、約45分で血中濃度が最大になります。睡眠薬としては短時間型の薬になりますが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬と比較すると催眠効果そのものは弱いものの、『筋弛緩・眠気・ふらつき・健忘』などの副作用が格段に少なくなっています。

副作用が少なく催眠作用もマイルドであることから、身体疾患のある人や脳の器質的疾患がある人、体力が衰えている人、高齢者などに処方しやすい睡眠薬です。睡眠と覚醒の周期を司る概日リズムを調整することができるため、昼夜逆転のような不規則な生活を改善したいと思っている人の不眠症(夜眠れない症状)にも有効です。ラメルテオンを服用した後には、眠たくなくても15分以内に消灯して布団・ベッドに入るようにすると、『光量の減少(太陽光に合わせた自然の睡眠・覚醒のリズム)』に反応することで催眠効果が生じやすくなります。

ラメルテオンの商品名……ロゼレム(武田薬品)

平均的な用法・用量……1回8.0mgを就寝前に1回服用する。ラメルテオン(ロゼレム)の服用に際しては、1~2週間の連続投与による効果判定を行うことになっている。

ベンゾジアゼピン系に代表される一般的な睡眠薬と比較すると、ラメルテオンには『鎮静・筋弛緩・抗不安』などの作用がないため、飲めば短時間で眠くなるというわけではない。また、患者には個別のメラトニン感受性の違いがあるので、すべての人に効果があるわけでもないからである。2~4週間の投与で催眠効果が認められた場合には、3ヶ月間の連続投与を行っていく。

副作用……副作用はほとんどなく、安全性の高い薬です。稀に人によって、眠気やめまい、倦怠感、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)の分泌増加などの副作用が起こります。プロラクチン濃度が上昇すると、『乳汁分泌・生理不順・無月経・性欲減退』などの症状がでます。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬のように依存性・耐性が形成されることはなく、離脱症状の問題もありません。

重大な副作用(発症頻度は低い)……アナフィラキシー様症状(発疹・蕁麻疹・気管支喘息・顔や喉の腫れ)

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、脳の器質障害、睡眠時無呼吸症候群、高齢者、妊婦(妊婦には催奇形性のリスクがあるので原則的には処方しない)など。中枢神経抑制の相乗効果によって副作用が強まる恐れがあるので、アルコールとの併用は避けて下さい。

『処方してはいけない禁忌』は、重い肝機能障害がある人、抗うつ薬(SSRI)のフルボキサミン(デプロメール,ルボックス)を服用している人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

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