リルマザホンの効能・作用……効能は『睡眠障害（重症度の低い・寝つきの悪い不眠症）』です。リルマザホン（商品名リスミー）はベンゾジアゼピン系の睡眠薬であり、大脳辺縁系に分布していてリラックス感や眠気に関係する『GABA-BZ受容体』に作用する。GABA神経系の働きが促進されることによって、『催眠誘導・抗不安・抗緊張』などの効果が発現するのである。
リルマザホンの持続時間は『短時間～中間型』で、血中半減期は“約10.5時間”である。睡眠薬としての作用時間が短いほうなので、入眠障害で寝つきの悪い人、夜に寝てからすぐに目が覚めてしまうような人に向いている。鎮静・睡眠作用だけではなく抗緊張につながる『抗けいれん・筋弛緩作用』もあるが、筋弛緩作用は他の睡眠薬よりも弱めに抑えられているので、高齢者でも服用しやすいメリットがある。
リルマザホン（リスミー）は作用時間が短いので、飲んでも翌日に眠気・だるさを持ち越しにくいのも利点とされる。一方、昼間の退薬症状として、時に日中の不安症状、落ち着かないそわそわ感が出てしまうこともある。リルマザホンは、特に寝つきの悪い入眠障害に対して効果的であるが、反対に『中途覚醒（寝てかなり時間が経ってから目覚めるタイプ）・早朝覚醒』の症状が目立つ睡眠障害には、もっと作用時間が長い睡眠薬が処方されることが多い。
リルマザホンの商品名……リスミー（小林化工・明治製菓）
平均的な用法・用量……睡眠障害では、成人は1回1～2mgを就寝前に経口服用する。年齢・疾患・症状の重症度によって、適切に服薬量を調節する。高齢者は1回2mgまでが上限である。
麻酔前投薬では、成人は1回2mgを就寝前・手術前に経口服用する。年齢・疾患・症状の重症度によって、適切に服薬量を調節する。高齢者は1回2mgまでが上限である。
副作用……副作用はほとんどなく、安全性の高いとされる薬です。人によっては、眠気やめまい、ふらつき、注意力の低下、倦怠感、翌日への眠気の持ち越しといった副作用が出ます。
重大な副作用（発症頻度は低い）……一過性の前向性健忘、もうろう状態、夢遊病、呼吸抑制（炭酸ガスナルコーシス）など。睡眠の途中で起きて仕事をしなければならないような状態の時には、服用しないようにして下さい。眠気や注意力・集中力の低下といった副作用が翌朝以降にも続く恐れがあるので、危険を伴う作業もしないようにして下さい。
注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、脳の器質障害、睡眠時無呼吸症候群、高齢者、妊婦（胎児への悪影響の考慮）など。中枢神経抑制の相乗効果によって副作用が強まる恐れがあるので、アルコールとの併用は避けて下さい。コーヒー、緑茶、紅茶に含まれるカフェインは、本剤の効き目を弱める可能性があります。
『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症の人、急性狭隅角緑内障の人、重症の気管支喘息の人、本剤で過敏症を起こしたことがある人。