13種類のビタミンとその機能

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五大栄養素(三大熱量素とビタミン・ミネラル)

人間の生命と身体の成長は、食物に含まれる栄養の摂取と体内での代謝活動(栄養成分の合成・吸収・老廃物の排出)によって支えられています。人間が生命を保ち、健康を維持していく為には、外部から食物を摂取して栄養を体内に取り込まなければいけません。

人間の身体と精神に必要不可欠な栄養素を『五大栄養素』といい、『タンパク質・炭水化物(糖質)・脂質・ビタミン・ミネラル』のことを指します。 五大栄養素の中で『タンパク質・炭水化物(糖質)・脂質』三大栄養素といい、身体の構成要素となり、行動する為のエネルギー(熱量)を生み出すカロリー源となります。

五大栄養素以外にも、炭水化物に含まれている食物繊維やワインやカカオに含まれるポリフェノール、トマトに含まれるリコピンなどの栄養素があります。食物繊維は、便秘解消や老廃物の排出など消化器系への作用があり、ポリフェノールやリコピンなどは老化の進行や細胞損傷の一因とされる活性酸素(フリーラジカル)の働きを抑える抗酸化物質としての作用が期待されています。ヨーグルトなどに含まれるビフィズス菌やオリゴ糖、緑茶の成分であるカテキンなど健康増進や身体生理のバランスをとる食品や栄養素はそれ以外にも数多くあります。

ビタミン(有機栄養素)ミネラル(無機栄養素)は、血液や細胞といった身体の構成要素ではありませんが、身体の生理機能を調節して病気の発症を予防するなど人間の生存と健康に欠かすことの出来ない栄養素です。ビタミンCが極端に不足すると壊血病になり、ビタミンB1が不足すると脚気になるように、極度のビタミン不足は『ビタミン欠乏症』という一群の疾患を引き起こします。

サプリメントでは、通常、エネルギー源となる炭水化物やタンパク質、脂肪ではなく、身体の機能を調節して健康を維持する作用を持つビタミンやミネラルを補給します。ビタミン(Vitamine)の語源は、Vital(生命)Amine(窒素含有の有機化合物)の合成語としてのVitamineであり、『生命維持に必要なアミン』といった意味です。

ビタミンB1の成分抽出に成功したポーランドのカシミール・フンク(Casimir Funk)が、1912年にビタミンという言葉を提唱しました。現在ではアミン以外の有機物もビタミンに含めており、『炭水化物・タンパク質・脂質ではない有機的な微量栄養素』をビタミンといいます。

ここでは、現在明らかにされているビタミンの種類とその機能について説明していきます。体内では合成されないビタミンは、人間の生理学的機能に作用して『生体リズムと体調の調節・疲労回復・免疫力向上(生体防御)・疾患の予防・疾患からの回復促進・老化予防』などの好ましい効果を発揮します。ビタミンの主要作用である体調のバランスを整える作用は、『体内の物質代謝(栄養の分解・吸収・排泄)の調整作用』と言い換えることも出来ます。

現在、微量栄養素としてのビタミンは、『ビタミンA,ビタミンB群(B1,B2,B6,B12,ナイアシン(ニコチン酸),パントテン酸,葉酸,ビオチン),ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンK』13種類が確認されています。

ビタミンには、『水溶性ビタミン』『脂溶性ビタミン』の2種類があり、水溶性ビタミンは過剰に摂っても尿中に排出されますが、脂溶性ビタミンは過剰に摂取すると体内に蓄積しますので摂りすぎには注意が必要です。余りに過剰な分量の脂溶性ビタミンを、長期間にわたって摂り続けるとビタミン過剰症を起こす可能性があります。

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13種類のビタミンとその特徴

13種類のビタミンと生理作用
脂溶性/水溶性ビタミンの種類ビタミンの作用ビタミンを多く含む食品成人の所要量ビタミン補給を要する人ビタミン欠乏症
脂溶性ビタミン ビタミンA
(レチノール)
『目のビタミン』といわれ、視覚機能の調節と深い関係があり、欠乏すると夜盲症というビタミン欠乏症を発症します。

滑らかな皮膚を形成し、気管支や肺、鼻、消化器の粘膜を保護する作用もあり、この粘膜保護と抗がん作用の関係を指摘する研究者もいます。

癌予防効果では、ビタミンAの前駆物質であるβカロチンが注目されています。

一日5万IU以上の過剰摂取をすると、肌荒れ、頭痛、嘔吐、消化器症状、脱毛、生理不順などの副作用が起きます。
うなぎ、ニンジン、レバー、チーズ、卵の黄身、小松菜など男:2,000IU
女:1,800IU
夜間の視力が落ちる人,疲れ目の人,肌荒れがある人,ガンの発症リスクの低下夜盲症
ビタミンD
(カルシフェロール)
骨の形成や発育に関係しているビタミンで、日光に当たることで体内で合成されます。90分間の日光照射で、夏期700IU、冬期400IUを合成できるとされます。成人の所要量は100IU程度ですから、一時間程度日光に当たれば、十分に必要量を合成できます。

肝臓・腎臓を経由して合成された活性型ビタミンDだけが、カルシウムやリンの吸収を助けて骨を形成するので、肝臓・腎臓に障害があると骨の健康を維持する活性型ビタミンDを合成できなくなります。
魚介類、キノコ類(シイタケ,マイタケ)など100IU骨の発育の途上にある幼児,カルシウム不足になりやすい妊婦,骨と歯が弱くなる高齢者骨軟化症,くる病
ビタミンE
(トコフェロール)
『老化防止のビタミン』とも言われ、細胞を損傷する活性酸素を抑える抗酸化作用があるとされます。

老化の原因物質の一つとされる過酸化脂質(不飽和脂肪酸の酸化物質)の生成を抑える作用がビタミンEにはあるとされ、動脈硬化や細胞の老化といった活性酸素の有毒性を和らげます。

ホルモンの分泌バランスを調整する作用もあり、更年期の女性のサプリメントとしても推奨されます。
アーモンド、ホウレン草、カボチャ、ひまわり油など男:10mg
女:8mg
更年期障害のある人,老化防止をしたい人,生活習慣病の予防をしたい人筋萎縮
ビタミンK
(フィロキノン)
血液凝固作用を維持する為に必要なビタミンで、肝臓で生成されるプロトロンビンを作る為にビタミンKが必要なのです。

特別に食事内容を工夫したり、サプリメントを摂取しなくても、普通は腸内細菌によってビタミンKは自然に合成されています。

ビタミンDのようにカルシウムの代謝を促進して、健康な骨を作る働きもあります。
納豆、ホウレン草、わかめ、緑茶、モロヘイヤなど男:65μg
女:55μg
骨粗鬆症の人,カルシウム不足になりやすい妊婦・授乳中の女性血液凝固障害
水溶性ビタミン ビタミンB1
(サイアミン)
人間のエネルギー源である炭水化物(糖質)を分解してエネルギーを取り出す為に必要なビタミンです。体内で糖質を分解する時に補酵素としての役割を果たします。
ビタミンB1が不足すると糖質をエネルギーに変換できなくなり、疲労物質である乳酸が体内に蓄積します。

中枢神経系と末梢神経系の正常な情報伝達活動を維持する働きもあり、不足すると精神機能のバランスを崩して情緒不安定になったり、運動機能が低下することがあります。
玄米、豚肉、うなぎなど男:1.1mg
女:0.8mg
お酒を飲みタバコを吸う人,疲労感や倦怠感を感じる人,身体と精神(神経)の疲労が溜まっている人脚気,多発性神経炎
ビタミンB2
(リボフラビン)
ビタミンB2は脂肪(脂質)の代謝を促進するビタミンで、『脂肪代謝のビタミン』とも言われ『健康的なダイエット』に効果的なビタミンでもあります。

ビタミンB1と同じく老化の原因の一つとされる過酸化脂質の生成を抑え、コレステロールの濃度を低下させる働きがあります。

直射日光に照射されると分解されてしまうので、ビタミンB1と同じく不足しやすいビタミンでもあります。
牛乳、チーズ、卵、納豆、レバー、うなぎなど男:1.2mg
女:1.0mg
ダイエット中の人、生活習慣病を予防したい人口内炎,口角炎,皮膚疾患
ビタミンB6
(ピリドキシン)
ビタミンB6は、タンパク質の代謝を促進するビタミンで、『肉食の多い人の代謝促進』に効果的なビタミンでもあります。

滑らかな皮膚の健康を保つ働きがあり、精神機能の正常性を維持する作用もあります。

免疫機能を正常化する作用もあるので、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患にもある程度の作用が期待できるかもしれません。
アジ、鮭、牛乳、レバー(牛)など男:1.6mg
女:1.2mg
アトピー性皮膚炎や花粉症などアレルギー疾患(免疫機能に異常がある疾患)の人、肉食や飲酒の多い人、肌荒れがある人皮膚疾患,アレルギー疾患,神経炎症
ビタミンB12
(コバラミン)
健康な赤血球の生成に関係するビタミンで、ビタミンB12が極端に不足すると巨赤芽球貧血という一つ一つの赤血球が大きくなり、赤血球の総数が減るという特殊な貧血が発症します。

胃から分泌される酵素で小腸から吸収されるので、胃の調子が悪くなるとビタミンB12の機能も低下します。

中枢神経系の活動によって成り立つ精神機能を正常に保つ働きをしており、集中力・思考力・記憶力といった知的活動とも関係しているといわれます。
牛肉、牡蠣、イクラ、海苔、イワシなど2.4μg肉類・魚類の摂取が少なく貧血気味の人、情緒不安定な人巨赤芽球貧血,舌炎,消化器疾患
ナイアシン
(ニコチン酸)
体内で、酸化還元反応の代謝に関係しているビタミンで、効率的に代謝を行って生活に必要なエネルギーを取り出します。

ナイアシンはさまざまな酵素の補酵素として働き、アルコールを飲んだときに生成される悪酔いの原因物質・アセトアルデヒドを分解します。

ナイアシンが極端に不足すると、日光を照射された部分に激しい皮膚の炎症が起きるペラグラという難病を発症し、重症化すると認知に関係する精神機能も障害される恐れがあります。
レバー(牛),魚介類など男:17mg
女:14mg
飲酒の多い人、頭痛や冷え性のある人ペラグラ,日光皮膚炎
パントテン酸パントテン酸はタンパク質や脂質の代謝を促進するビタミンで、効率的にエネルギーを取り出します。

脂質の代謝を活発化するので、コレステロールの濃度を適性に保つ作用があり、腸内細菌によっても合成されるので不足しにくいビタミンでもあります。

副腎皮質ホルモンや性ホルモンの合成を促進して、生理学的なストレス・コーピングを行う機能も持っています。ホルモン分泌によって、性欲を高め性機能を増進させる作用もあります。
卵、チーズ、パン、ローヤルゼリー、サツマイモなど5mgストレス過多な人、食欲や性欲が低下している人灼熱脚症候群
葉酸
プテロイルグルタミン酸
体内の細胞の基本情報である核酸の生成を助け、健康な赤血球の形成に関係する重要なビタミンです。

ビタミンB12と同じように、骨髄で作られる赤血球の成熟に関係しているビタミンで、不足すると特殊な巨赤芽球貧血を引き起こします。

正常なDNAの遺伝子情報の伝達にも関係しているとされ、胎児の中枢神経系(脳)の発達には葉酸が必要だとされています。

科学的な因果関係のエビデンスが明確なわけではありませんが、妊婦に葉酸が過度に不足すると、小頭症など脳の発育不全の疾患が発生しやすくなると言われています。

アルコールによって葉酸は分解されるので、お酒を飲みすぎる人は、同時に食物も摂取するようにして下さい。
レバー、ホウレン草、大豆、モロヘイヤなど200μg胎児の中枢神経系が形成されている妊婦、飲酒の多い人、貧血気味で疲れやすい人貧血,胎児への悪影響
ビオチンビオチンはビタミンHとも言われ、皮膚の健康を保ち皮膚の炎症を抑えるビタミンで、皮膚組織以外にも内分泌器官(甲状腺・性腺)の正常な機能を維持する働きがあります。

生卵の卵白に含まれるアビジンは、ビオチンの吸収を阻害するので、生卵を食べ過ぎないようにして、卵は加熱して食べるようにするといいでしょう。
牛乳、卵、レバー、大豆など30μg肌荒れのある人、白髪が気になる人皮膚疾患(鱗屑性皮膚炎,フケ症)
ビタミンC
アスコルビン酸
ビタミンCは、『美肌・美白のビタミン』としてサプリメントの広告で宣伝されることの多いビタミンです。

美しい皮膚の形成効果は、ビタミンCのコラーゲンを合成する作用とメラニン生成(シミ・ソバカス)を抑止する効果のことを言っています。コラーゲンは、皮膚だけでなく、血管、関節、骨、軟骨の構成物質でもあります。

ビタミンCは、万能のビタミンとも呼ばれるように、皮膚の健康維持の機能だけではなく、抗酸化物質として老化を抑制する作用、コレステロールの蓄積を抑える作用、肝臓の機能強化、免疫機能の上昇、疲労回復効果、目の健康維持など実にさまざまな機能を持っています。
柿、イチゴ、ミカン、レモンなどのフルーツ,ピーマン、トマトなどの野菜100mg肌荒れやシミのある人、免疫機能が低下している人、タバコを吸いストレスの多い人、生活習慣病を予防したい人壊血病
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