Z.ルービンとA.パムの恋愛の側面(要素)についての研究
デイビスとクリテリの恋愛の側面(要素)についての研究
恋愛と友情の違いを説明しましたが、恋愛関係における愛情を測定する時に参考になる『恋愛の構成要素(側面)』については、心理学者のZ.ルービン(Z.Rubin)とA.パム(A.Pam)が以下の5つの側面を分類しています。
A.パムの大学生179人を対象とした恋愛心理学の研究では、『恋愛中・デート交際中(友人以上の親しい付き合い)・友人関係』の3つの群に分けて、恋愛の構成要素(側面)の違いについて調べましたが、上記5つのうちの『相性』だけはどの群でも同じで有意な差が見られませんでした。
『尊敬』の得点は恋愛群と友人群で高くなっていて、デート交際群では低くなっており、『愛他性・愛着』の得点では恋愛群だけが有意に高くなっていました。『外見的魅力』も恋愛群が最も高くなっており、それにデート交際群と友人群が続きました。
A.パムの恋愛の5つの側面に焦点を当てた恋愛研究から分かるのは、友人関係からデート交際の関係へと進展するためには『外見的魅力』を高く評価することが重要であり、デート交際の関係から更に恋愛関係へと進展していくためには『愛他性(相手のために尽くして喜ばせてあげたい)・愛着(相手を特別な存在とみなして一緒にいたい)』が重要になってくるということです。
心理学者のデイビスは、1985年に恋愛関係と友人関係のプロトタイプ(理想型・典型例)を前提とした調査研究を行い、以下のように『恋愛と友情の側面(要素)』を分類しました。しかし、述べ400人に近い人を対象にした実際の調査結果は、デイビスの恋愛・友情の側面(要素)の分類通りにはならず、『受容・信頼・尊敬』以外の側面ではすべて恋愛関係(恋人・夫婦)のほうが点数が上回っていたのです。
デイビスの分類した恋愛の特徴的な側面(要素)
デイビスの分類した友情の特徴的な側面(要素)
デイビスの恋愛関係についての調査研究から分かったのは、恋愛関係(恋人・夫婦)は友人関係と比べて曖昧な部分が多く、『対立・葛藤・喧嘩(最悪のケースでは離別)』が起こりやすいということであり、恋愛関係を維持するためには友人関係以上に『特別の努力・配慮・話し合い』などが必要になってくるものと考えられます。またお互いの存在・価値観を素直に受容している度合いでも、恋人・夫婦は平均的には同性の親友に及ばないことが多く、『違っている部分は受容できないが妥協・放置するという関係』になりやすいことが分かっています。
恋人や夫婦との恋愛関係は友人関係よりも、『特別な楽しみ・性的な喜び・愛情の実感』を得られるというメリットはあるのですが、それと合わせて『曖昧さ・対立の生まれやすさ・我慢や妥協の必要性・緊張感(関係悪化して折り合えないと別離に至る)』などの問題もあるのです。
心理学者のクリテリ(Critelli)らは、1986年に社会派の精神分析家エーリッヒ・フロムやヒューマニスティック心理学(人間性心理学)のアブラハム・マズローの著作・文献・恋愛論などを参照して、『恋愛心理学の質問紙』を作成しました。
その恋愛心理学の質問紙の心理テストを、デート交際中のカップル123組に対して実施して、更にカップルに恋人宛てのラブレターも書いてもらいました。その結果、統計学的な因子分析によって、恋愛の側面(要素)として以下の5点が分類されることになりました。
クリテリらが恋愛の側面(要素)として分類した『ロマンティックな依存』はZ.ルービンの『恋愛尺度』、『尊敬』は『好意尺度』に相当しており、恋人宛てに書かれたラブレターのロマンティックな文章の内容は、有意に恋愛の側面(要素)である『ロマンティックな依存』『生理的覚醒』の得点と相関していました。
クリテリらの分類した恋愛の側面(要素)
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