結婚期に必要な結婚資金と人生の三大出費(子供の教育費)

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結婚する際に必要となる結婚資金

学校を卒業するまでは両親に扶養されて経済的な庇護下にありますが、就職して心理的・経済的な自立を遂げると、自分の生活を自分の稼いだ『所得』や自分が貯めた『貯蓄』で賄うようになっていきます。就職して後の独身期には、車や家具・電化製品などの購入を除いてそれほど大きな支出(出費)はありませんが、独身期の後に訪れることになる結婚期には『結婚資金』という大きな支出が必要となります。今は昔のように結婚にまつわる慣習(しきたり)やイエ制度の影響が強くないので、夫婦(両家)の合意によって、結納金や結納返し、結婚式や披露宴などを省略して行わないカップルが増えてきましたが、それらを行わないとしても、『結婚生活の準備資金』には大きなお金が必要となってきます。

正式な手続きを踏んだ結婚を行わなければならないとすると、『結納金(夫)・結納返し(妻)・婚約記念品・挙式・披露宴・新婚旅行・結婚生活の準備』などに費やす結婚資金が必要となってきます。それらに幾らのお金が掛かるのかについては、夫婦間の合意や両家の意向、地域ごとの慣習、結婚式の規模(豪華さ)などによって変わってきますが、大体の平均的な相場でいくと、男性の結納金に40~80万円、女性の結納返しに5~10万円、結婚式・披露宴に100~300万円、新婚旅行に10~60万円、結婚生活の準備に100~200万円が必要となってきます。結納を取り交わして、きちんと結婚式や披露宴を行い、新婚旅行にも行くとすれば、結婚生活の準備も合わせて、最低でも“300万円程度”のお金が必要になってくると考えられます。結婚指環代も含めれば、更に数十万円以上のお金がかかる計算になります。

もちろん、ただ、婚姻届を役所に届けて入籍さえすれば良いという結婚の方法もありますので、夫婦と両家が同意して徹底的にお金を使わないようにしようとすれば、結婚生活の準備資金である100~200万円(新居の敷金礼金・家具・電化製品・台所用品・衣料など)で済ませられます。しかし、どちらかが大きな企業に勤めていたり、出身が田舎で親戚付き合いが親密だったりすると、結婚式を挙げずに結婚することが難しいといった事情も多くあるようですし、一生に一度の晴れ舞台ということで、夫婦自身が華やかな結婚式を開いて大勢の人に祝ってもらいたいという希望を持っていることも少なくありません。

生涯を連れそうパートナー(配偶者)と結婚してから『子供を欲しいという希望』を現実化させようとすると、結婚期の中でも一番お金がかかる『育児期』へと突入することになります。一人っ子では淋しいからということで複数の子供を産むことになれば、第一子の誕生から末子の就職までの長い期間が『育児期』になります。結婚して二人の生活がスタートした段階で一番大きな支出は『住宅費(家賃)』と『車のローン』などですが、住宅費は賃貸(家賃)から持ち家(住宅ローン)に変わるとより大きな負担となります。

子供を持つ予定があるのであれば、月々の返済額が家賃よりも高い『住宅ローン』を組まないようにすることが大切で、仮に『住宅ローン』を組むのであれば金利の安い不況期を見計らって固定型金利のローンを組みましょう。金利が高い時期に住宅ローンを組むのであれば、変動型金利のローンにも魅力がありますが、現在(2007年2月)のようにデフレ期を脱却しようとしている時期には、利上げ圧力が強まりますので変動型金利のローンは組まないほうが安全です。

『育児期』に大きな家計の負担となるのは、『住宅資金』『子供の教育資金』であり、『育児終了期(子離れ期)』に準備が必要となってくる『老後の生活資金』と合わせて『人生の三大出費(人生の三大資金)』と呼ばれます。人生の三大出費は、夫婦の人生のかなり長い期間にわたって家計を圧迫し続けますので、『住宅資金・教育資金・老後資金』については結婚生活の早い段階から所得・貯蓄と支出のバランスを考えた計画を立てておく必要があります。また、結婚生活の各段階において、より目的に合った安いプランがあれば『生命保険・医療保険・学資保険』などの見直しを行い、『住宅ローン・自動車ローン』などの検討や借り換えを行っていく必要もあります。

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『人生の三大出費』である教育資金(子供の教育費)の準備

住宅取得資金や老後生活資金と並んで『人生の三大出費(三大資金)』が幾らかかるのかについて、文部科学省が『子どもの学習費調査』というのを実施しています。文部科学省が実施しているこの調査では、義務教育を含む子供の学校教育に必要な教育費を『保護者が子どもの学校教育及び学校外活動のために支出した経費』として算定しています。具体的には、『学校教育費・学校給食費・学校外活動費』を含む必要経費が“子供の教育費”になりますが、キャッシュフロー(お金の流れ)を記録する家計簿をつける場合には、学校外活動費については『基本生活費』に含めて計算するようにします。

学校外活動費というのは、『学校教育に絶対必要な学費や給食費』以外の教育費のことで、具体的には『学習塾(進学塾)や習い事の費用・家庭教師の費用・机や文房具など学習用具の購入費用・参考書や問題集など教育関連書籍の購入費用・各種の通信教育費』のことを言います。子供の教育費にものすごくお金がかかって家計のやりくりが大変という話はよく聞きますが、実際には学校に支払う『学校教育費や学校給食費』よりも『学校外活動費(学習塾・習い事・家庭教師)』に多くのお金を使っている親が多いようです。

学校外活動費について極端なことを言えば、子供の教育や学歴に関心が低く教育投資に全く熱意のない親であればゼロにすることも可能ですし、家計が苦しくて塾などの学校外活動費に十分なお金を回せないという家庭もあるでしょう。しかし、学校外活動費に殆どお金を使っていないからといって、『親の教育への関心・熱意』が低いとは一概に言えない部分もありますし、学校外活動費に投資しなくても『子供が高い学力成績』を発揮できる場合もあります。

夫婦がフルタイムの仕事をしている共働きで、子供の勉強を教えてやる時間的・精神的余裕がないのであれば、進学塾や家庭教師に高額の投資をせざるを得ないかもしれませんが、夫婦のどちらかに時間的余裕があり、子供に勉強を教えるだけの教養・学力にそれなりの自信があるのであれば、『家庭学習の充実』を図ったほうが勉強の成績(学力の向上)を上げるコストパフォーマンスが高いと言えます。大学受験くらいになると、試験に必要な知識の分量が多くなり問題を短時間で解くための受験テクニックも必要になってくるので、親が子供に勉強を教えて上げることは難しくなりますが、小学校や中学校くらいまでの得意分野の勉強であれば分かりやすく教えてあげる自信がある親も少なくないのではないでしょうか。子供が小さな間は、『昔やった勉強を、もう一度一緒に勉強しよう』という前向きな気持ちを持って子供に教えてあげることで、自分の基本知識を再確認することができ、子供の教育費の大幅な削減につながります。

上でリンクした文部科学省の『子供の学習費調査 平成16年度』の統計データを見ると、子供が『幼稚園・小学校・中学校・高等学校』に通うために必要となる教育費が分かります。子供を公立の学校(幼稚園)に通わせるのか、私立の学校(幼稚園)に通わせるのかによっても『子供にかかる教育費の総額』が大きく変わってきます。

学校種別で公立・私立の学習費を比較してみると、幼稚園では私立が公立の2.1倍(前回調査2.2倍),中学校では2.7倍(同2.8倍),高等学校では2.0倍(同2.0倍)となっていますが、大学の学習費でも私立は公立の約2倍ですので、子供を全て私立の学校に通わせるとすると、少なくとも公立の2倍の学習費が必要となります。私立大学の医学部などに進学する場合には、国公立大学の法学部や理学部に進学する場合と比べて、少なくとも5倍以上の学費(年間500万円以上の学費)が必要になるとも言われます。

平成16年度「子どもの学習費調査」――学校種別の学習費総額及び構成比

幼稚園は、公立23万8千円(対前回調査伸び率2.2パーセント)、私立50万9千円(同マイナス1.9パーセント)、小学校は公立のみ調査しており、31万4千円(同7.5パーセント)、中学校は公立46万9千円(同7.2パーセント)、私立127万5千円(同3.5パーセント)、高等学校(全日制,以下同じ。)は公立51万6千円(同マイナス2.2パーセント),私立103万5千円(同0.4パーセント)となっている。

また、学習費総額について推移をみると、「学校教育費」は私立中学校で増加傾向にある。一方、私立幼稚園及び私立高等学校では増加傾向にあったが、今回減少に転じている。「学校外活動費」は、公私立幼稚園で減少傾向にあるが、公立小学校及び公私立中学校では前回より増加している。

なぜ、学校教育費以外の学習塾(進学塾)や家庭教師にかかる費用が大きくなるのかというと、子供を偏差値の高い一流大学に入学させたい親が多いからであり、受験競争に勝利して高学歴を得ることで『生涯賃金と社会的評価の高い職業(会社)』に就ける確率が上がるという希望を持っているからです。東大や京大を頂点とする一流国立大を卒業すれば、国家公務員1種のキャリア官僚や東証一部上場の一流企業(給与の高い大手の外資系企業)のサラリーマンになりやすいという確信は未だに社会に共有されています。『高学歴さえ得れば人生安泰』というような学歴神話(学歴至上主義)は現在では崩壊していますが、学歴は低いよりも高いほうが生涯賃金が高くなりやすいという『正の相関』は残っています。また、医師や法曹(弁護士・裁判官)、学校の教員、官庁(地方)の公務員などの収入が安定した職業に就きたいのであれば、偏差値の高い大学に進学したほうが有利なことは間違いありません。

現在の学校教育において重要なことは、受験競争に勝って『高い学歴』を機械的に得ることだけではなく、『卒業後の職業キャリアにつながる活動(進路に向けた勉強・資格の取得・サークルやゼミでの人脈づくり・就職する企業の比較検討)』を大学在学中にどれだけ出来るかということです。つまり、希望の大学に入学して燃え尽きてしまうのではなく、自分の人生の将来のビジョンを少しずつ明確に描きながら『有意義な大学生活(キャンパスライフ)』を送ることがとても大切なのです。

子供に大きな教育投資をする教育熱心な親が勘違いしやすいのは、『良い大学に入学するまでが勝負』という旧時代的な思い込みであり、学歴そのものがブランド価値を持つ時代は既に終わりを迎えようとしています。現在では、知識労働の専門化や再分化が急速に進んでおり、高度な知識労働者として企業・官庁・学校で仕事をしようとするのであれば、一生涯にわたって勉強・努力・情報収集を継続していく必要があります。大学に入ってから『目的意識を持った活動(研究調査・情報分析・対人コミュニケーション)』をする習慣を身に付けられるか否かが将来のキャリア形成にとって重要になってきますので、子供が大学進学を希望する場合には『なぜ、その大学のその学部に進学したいのか?』を子供と話し合ってから決めたほうがいいでしょう。

必ずしも大学入学の時点で将来の進路のビジョンを描く必要はありませんが、文系学部と理系学部のどちらを選ぶのかにしても、本人の興味関心や将来の大まかな希望を確認して進路を選ぶ必要がありますし、医師・法曹・教師・特定分野の研究者などなりたい職業が決まっているのであればその進路に開かれた大学の学部を選ばなければなりません。いずれにしても、人生の三大出費(三大資金)である『子供の教育資金』では、『子供の進学希望(就職進路の希望)』とその進路を実現するために必要な『子供の教育費の貯蓄』の計画が大切になってきます。

子供の教育資金の準備

子供が幼稚園に通い始めて大学を卒業するまでにかかる教育費(学費)は、『幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学』を全て公立に通った場合でも“約1,000万円”近いお金がかかり、全て私立に通えば“約2,000万円”はかかると言われます。この中には、学習塾(進学塾)・習い事・家庭教師・通信教育などの補助学習費は含まれていませんから、子供の進学希望によっても変わってきますが、子供の教育費には相当に大きな資金が必要になってきます。当然、子供の衣食住を賄う基本生活費もかかりますから、子供に教育を与えて一人前の社会人にする為の子育て(育児)にはとてもお金がかかるものなのです。

学習総額費を見ると余りにも莫大に見えるこの教育資金をどのように貯めれば良いのかが、結婚した夫婦のファイナンシャルプランの大きな課題となります。子供の教育資金を子供が小学校や中学校に入学してから貯蓄しようとする親もいますが、『子供の進学や進路の希望』に自信をもって応えてあげるためには、子供が生まれてからすぐに始める『教育資金貯蓄の長期計画』をお勧めします。子供が生まれてすぐに教育資金の準備を始めるのであれば、条件が有利な金融商品の購入を検討することが出来ます。

具体的には、生命保険会社・損害保険会社・銀行・郵便局(簡易保険)で販売されている『子ども保険・学資保険』を購入することになりますが、子どもの大学進学を希望していて貯蓄だけでなく一定の保障も欲しいという親の場合には、定期預金や財形貯蓄、積立貯金よりも子ども保険・学資保険を購入したほうが手厚い保障があって有利です。特に、保険会社が取り扱っている『子ども保険』や郵便局(簡易保険)が取り扱っている『学資保険』では、自分が事故や病気で不慮の死を遂げたり障害者になった場合に、『その後の保険料の支払いが免除』になる保障があります。

学資保険(子ども保険)に入っておけば、保険料の支払い金額によって変わってきますが、子どもの入学・進学年齢に合わせて『一定の祝金(いわいきん)』を有利な条件で受け取ることができるので、教育資金を計画的に貯めやすくなります。お金を手元に持っているとつい使ってしまって、なかなか子どもの教育資金が貯まらないというサラリーマンの方は、職場で利用できる一般財形貯蓄を使って教育費のための貯金をしていくと良いでしょう。一般財形貯蓄は、勤めている企業がその貯蓄制度を導入していないと使えませんが、給料から自動的に天引きされて貯金されるので、放っておいて気づいた時にはかなりの金額が貯まっているというメリットがあります。

郵便局にも、教育積立貯金という商品があり、この貯蓄商品に月々積み立てをしていくと、積み立てた金額と同額の融資を国民生活金融公庫から受けることができるようになります。つまり、100万円を教育積立郵便貯金で貯めれば、同額の100万円を低い金利で融資してもらうことが出来ますから、子どもの教育費用として200万円を準備したことになるのです。月々の積立金額は、1万円以上で5,000円単位で増額でき、1年以上5年以内の期間で積立ができます。

積立総額最高は200万円ですから、国民生活金融公庫からの融資を合わせれば、最高で400万円の教育資金を準備することができますから、これであれば、国公立大学の入学費と初年度の学費を賄うには十分でしょう。子どもの将来の教育資金が不安な方は、無理のない月々の支払いで学資保険(子ども保険)を購入し、郵便局の教育積立貯金のような貯蓄と融資が一体化した商品を利用すると良いと思います。教育積立貯金は、親だけでなく本人(子ども)でも可能ですから、学費を親が用意できるか心配な学生は、自分自身も簡単なアルバイトをするなどして積立貯金をしておくと良いかもしれません。

但し、ある程度成績が優秀で真面目に講義を受けるつまりのある学生であれば、日本育英会や入学した大学の奨学金制度が利用できるケースが多いですから、大学の学費に関しては『まじめに勉強して卒業する確固たる意志』があればさほど心配する必要はないでしょう。奨学金制度には、成績優秀者で能力・素質のある学生であれば返済義務がないものもありますが、返済義務があるものでも『大学卒業後に返済する制度』になっているので、卒業して就職する意志がある学生であれば、無理なく返済できるプランになっています。奨学金制度は、勉学をしたいという学生の経済的な自助努力を推進する制度ですので、卒業後に働く意志(義務)を強化するという面でも良い部分があります。奨学金制度を利用できない学生の場合には、国民生活金融公庫が実施している教育ローンや民間の銀行が行っている教育ローンの利用を検討することができますが、この場合には返済する際の金利が多少高くなります。

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