個人事業主の税金と青色申告の申請

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個人の所得の種類と個人事業主の納税義務

累進的な課税である所得税の計算方法と各種控除について、『所得税の計算方法と所得控除』のページで説明しましたが、ここでは所得税の課税対象となる所得区分と実際の所得金額について簡単にまとめておきます。その後に、個人事業主に納税義務がある『所得税以外の税金』についても説明します。

所得区分と所得金額
所得区分内容所得金額
事業所得会社からの給与所得ではない、個人が事業を営んで得た所得。収入-経費=所得
不動産所得土地や建物を所有している人が、不動産を賃貸することによって得た所得。収入-経費=所得
山林所得山林所有者が、山林の材木や自然資源を売却して得た所得。収入-経費-特別控除=所得
給与所得会社勤めや公務員をしているサラリーマンが働いて得た給与・賞与(ボーナス)などの所得。給与収入-給与所得控除=所得
退職所得会社・官庁に勤めている人が得た退職金や一時金の所得。(収入-退職所得控除)÷2=所得
利子所得預貯金・国債・公社債など債権につく利子所得。収入=所得
配当所得株式所有者(株主)への利益配当や出資金配当による所得。収入-借入金の利子=所得
譲渡所得株(キャピタルゲイン)・会員権・土地・建物などを売却して得た所得。収入-取得費用(譲渡費用)-特別控除=所得
一時所得各種保険の満期返戻金・解約金・賞金などの一時的な所得。収入-費用-特別控除=所得
雑所得アフィリエイトの報酬や臨時収入など不定期に入る上記以外の所得。収入-経費=所得
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1月1日から12月31日までの所得金額を計算して申請する行為を確定申告といい、その受付時期は、所得を得た翌年の2月16日から3月15日となっています。確定申告で青色申告書による納付を既に届け出ている場合には、『青色申告決算書』と『確定申告書』を税務署に提出することになります。アフィリエイトや内職などの副収入にも当然納税義務が発生しますが、給与所得者であれば『20万円以上の年間所得(収入-経費)』で納税義務が発生し、副職以外に収入が全くない個人であれば『38万円以上の年間所得』で納税義務が発生します。

副職による定期的な収入が見込めず、一時的に上記の課税最低限度額を超えた場合にも『雑所得』で確定申告する必要があります。税金の確定申告をしなかったり納税義務が有ることに気づかなかった場合には、『無申告加算税』という高い税率のペナルティを受けるので注意が必要です。期限後であっても自主的に速やかに申告すれば、加算税率が15%から5%に下がってペナルティが軽くなるので、悪質な脱税や所得隠しでなければ気づいた時点ですぐに申告すれば大きな問題はありません。

個人事業主は確定申告によって支払う所得税以外にも、『住民税・国民健康保険料・個人事業税・消費税』を支払う義務がありますが、年収290万円以下の個人事業主であれば個人事業税(5%)は免除され、売上高が1000万円以下の個人事業主には消費税の納付義務はありません。消費税は開業後2年間は非課税となりますが、それは、消費税が「二年前の売上」に対して課税される税金だからです。また、消費税を支払わない個人事業主でも、商品やサービスの販売価格に消費税を加えることは問題ありません。個人事業主は所得税を計算して確定申告した後に、『前年の所得額』に応じた住民税・国民健康保険料・個人事業税が自動的に算出されて『税金の納付書』が送付されてきます。確定申告による所得税以外は基本的に自分で計算する必要はありませんが、所得税を支払った後に、更に支払う税金(保険料)の請求書が送られてくるのである程度のお金を預貯金で持っておく必要があります。

住民税の税率の変更と国民健康保険料

小泉政権下で、中央政府(国)から地方自治体(地方)へ税源を移譲する『三位一体の改革』が決議され、現在(平成19年)では所得税(国税)から住民税(地方税)へと税源が移譲されています。所得200万円以下(所得税では所得195万円以下)の国民の所得税は10%から5%へと減税されましたが、住民税は5%から10%へと増税されました。以前は、所得税も住民税も「超過累進課税制」を採用していましたが、住民税のほうは所得と無関係に「一律10%」を課すようになり住民税は比例税になりました(平成18年までは、住民税は『5%(所得200万円以下)・10%(所得200万超~700万円以下)・13%(所得700万円超)』の累進課税でした)。

住民税は所得と無関係に「均等割」として一律「4000円」の税金がかかりますが、それと上記した所得の10%の「所得割」を合わせた金額を地方自治体に住民税として支払うことになります。国から地方への税源移譲では、以前は実際に支払う税金の負担額は変わらないと言われていましたが、現在は各種の特別控除や定率減税の廃止などによって国民の負担額は上がり「実質的な増税」となっています。住民税と国民健康保険料の納付通知書(支払額の決定の通知)は、毎年6月に自宅の住所へと送付されてきます。

市区町村に納付する国民健康保険料(国民健康保険税)は、一般的に住民税よりも割高に設定されており、「一人当たりの均等割」「世帯当たりの平等割」「所得や住民税に応じた所得割」によって計算されます。

青色申告の手続きと節税メリット

税務署に特別な届出をせずに開業届を提出すれば、通常『白色申告』で確定申告を行うことになりますが、開業届と一緒に『所得税の青色申告承認申請書』を提出すれば『65万円の青色申告特別控除』を受けることが出来ます。『個人事業の開廃業届』『所得税の青色申告承認申請書』はインターネットでも書式のフォーマットを手に入れることが出来るので、それをプリンターで印刷して必要事項を書き込み税務署に郵送すれば大丈夫です。青色申告による所得控除は簡易簿記と損益計算書だけを作成する場合には『10万円』ですが、発生主義を採用した複式簿記で記帳して損益計算書と貸借対照表を作成すれば『65万円』の所得控除を受けることが出来ます。

青色申告するための『所得税の青色申告承認申請書』の提出期限ですが、新規開業で「1月1日から1月15日までに開業」する場合は「その年の3月15日まで」で、「1月16日以降に開業」する場合は「開業日から2ヶ月以内」に提出するようになっています。白色申告から青色申告に切り替える場合には、青色申告をする年の3月15日までに申請書を提出してください。青色申告には様々な節税メリットがありますが、65万円の所得控除以外に『経費に出来る項目を増やせる』というのが最大のメリットでもあります。具体的には、『家事関連費(家賃・光熱費・水道費・電話代・インターネットの通信費)の一部』を経費として計上することができ、『届出をして青色専従者(家族)への給与』を経費にすることが出来ます。家族を従業員として雇い給与を支払う場合には、税務署に『青色専従者給与に関する届書』を提出してください。それ以外にも、赤字による損失を3年間繰り越すことができる「繰越控除」を利用する事も出来ます。

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