肥満度検査とメタボリック・シンドローム(基本検査)

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生活習慣病のリスクファクターである肥満

糖分や脂質の多いメニューの食事を摂りすぎたり、食事を食べる時間が不規則になったりすると、生活習慣が乱れて肥満になる可能性が高くなります。肥満になる要因には、食事内容や食事回数、精神的ストレスによる過食といった後天的要因以外にも、親から子への体質遺伝という生得的要因があります。肥満の体質遺伝があっても、間食をせず朝・昼・晩の決められた時間に、栄養バランスの取れた食事を適量摂ることを心がけることで、肥満を予防したり体重・体脂肪率を低下させて肥満を改善することが出来ます。

健康診断の基本検査では、必ず身長と体重を測定しますが、肥満のリスクを判定する為には、身長と体重の比率だけではなく、体脂肪計を用いて体脂肪率も測定する必要があります。肥満が何故、健康管理や病気の予防をする上で好ましくないのかと言えば、各種の血管障害(高血圧・高脂血症・動脈硬化症)や致命的な心疾患(心筋梗塞・狭心症)脳卒中の重要なリスクファクター(危険因子)となるからです。

糖分の多い甘いお菓子やジュース(清涼飲料水)の摂り過ぎは、糖尿病の発症リスクを高め、糖尿病発症以後の症状悪化を招きます。また、ビールや焼酎などアルコール類の過剰摂取や行き過ぎた過食を長期に続けてしまうと、年齢によっては尿酸値が高くなり激痛発作を起こす通風のリスクファクターとなる恐れがあります。

体重や体脂肪計を用いる基礎検査としての肥満度検査は、苦痛も不快もなく最も簡単に実施できる検査の一つですので、定期的に体重と体脂肪率を測定して適度な体重や摂生の取れた食生活を意識することが大切です。インピーダンス法を採用した体組成計・体脂肪計では、微弱電流を身体に流してその電機抵抗を測定することで瞬間的に『体重・体脂肪・骨量・筋量』からなる体組成を計測することが出来るのです。

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国際的に用いられている肥満の判定基準として『BMI(Body Mass Index:体格指数)』というものがあり、BMIは『体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}』の公式で求めることが出来ます。BMIは標準体重を算出する場合にも応用することができ、健常者の平均BMIである“22”を身長(m)の2乗に掛けたものが標準体重になります。身長160センチの人の標準体重は、『1.6×1.6×22=56.32(kg)』というようになりますが、飽くまで統計的な標準体重ですので多少重すぎたり軽すぎたりしても異常はありません。

BMIや標準体重を簡単に計算したい方は、Google電卓機能を使って計算すると素早く計算することが出来ますよ。検索窓に、半角数字で数字を打ち込み、掛け算の時は“*”の記号、割り算の時は“/”を使って検索ボタンを押せば簡単に計算結果を出すことが出来ます。上記の身長160センチの例であれば、『1.6*1.6*22』と検索窓に入力して検索を実行すればいい訳です。

BMIによる肥満度検査の判定基準は、以下のようになります。

BMIによる肥満度検査
BMI肥満度判定
18.4以下低体重
18.5-24.9普通
25.0-29.9肥満1度
30.0-34.9肥満2度
35.0-39.9肥満3度
40.0以上肥満4度

体脂肪率で肥満度を判定する場合には、『30歳未満の男性の適正範囲:14-20%, 30歳以上の男性の適正範囲:17-23%, 肥満:25%以上』『30歳未満の女性の適正範囲:17-24%, 30歳以上の女性の適正範囲:20-27%, 肥満:30%以上』になります。

同じ肥満であっても、腹膜内部や内臓周辺に脂肪が付いている『内臓脂肪型肥満』のほうが、皮膚のすぐ下の臀部(お尻)や太ももに脂肪が溜まる『皮下脂肪型肥満』よりも血管障害や心疾患、脳梗塞、糖尿病といった生活習慣病のリスクが高いといわれます。肥満の傾向がある人の脂肪が、内臓脂肪中心なのか皮下脂肪中心なのかを正確に判定するためには、CTスキャンやMRI(核磁気共鳴画像診断法)などの画像診断検査を行う必要があります。

メタボリック・シンドロームの診断基準と生活習慣改善による肥満予防

最近の医療ニュースや健康番組でメタボリック・シンドローム(Metabolic Syndrome,内臓脂肪症候群)という症候群の名前を聞く機会が多くなりましたが、内臓脂肪の過度な蓄積と不摂生な生活習慣の継続は、40代以上の中高年世代が抱える大きな生活習慣病のリスクファクターとなっています。重篤な心臓疾患、糖尿病、高血圧、高脂血症などのリスクファクターとして、お腹や腰周りに溜まっていく内臓脂肪の蓄積が問題視されてきています。メタボリック・シンドロームを医学的観点から診断する場合には、2005年4月の第102回日本内科学会総会で定められた診断基準があります。

メタボリック・シンドロームの診断基準

1.必須項目:ウエスト径が『男性85センチ以上』『女性90センチ以上』であること。

以下の2,3,4の選択項目のうち、2つの基準を満たしていること。

2.高トリグリセリド血症(≧150mg/dl)

3.低HDLコレステロール血症(<40mg/dl)

4.血圧(最高130mmHG, 最低85mmHG), 空腹時の高血糖(≧110mg/dl)

日本の医療制度や社会保険行政でメタボリック・シンドロームが話題になっている原因の一つが、中高年世代を中心に約2,000万人のメタボリック・シンドローム患者の存在が推定されていることがあります。内臓脂肪型肥満が亢進して疾病リスクが高くなるということは、長期的な薬物治療や生活指導が必要な慢性疾患を発症するリスクが高くなることを意味します。将来の日本の健康保険制度の継続を財政面から考えた場合に、メタボリック・シンドロームから発症する『循環器系・代謝系の慢性疾患』が医療財政を逼迫する恐れがあるのです。医療行政を担当する厚生労働省は、高血圧や高脂血症、糖尿病など完治が難しい慢性疾患の治療による医療費増大を事前に抑制する為に、メタボリック・シンドロームの早期改善対策が必要であると考えているのでしょう。

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