血液検査・採血検査

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血液は、心臓の動脈から肺や全身の各器官(各組織)の毛細血管へと送り出され、再び静脈を通って心臓へと戻ってくる体液で、動物の身体を絶え間なく循環する生命維持に不可欠なものである。血液の主要機能は、『酸素・栄養の運搬』『二酸化炭素・老廃物の排出』『生体ホルモンの運搬による脳への情報伝達』『細菌・ウイルスの感染から身体を防衛する免疫機能』である。

人間は、血管内を血液が流れる閉鎖血管系を持ち、その血液量は体重の約13分の1(約8%)で、出血による致死量は全血液量の約50%である。体重60キログラムの成人男性の血液量は約4,000ccなので、その出血による致死量は理論的には2,000ccであるが、実際に大量出血すると出血性ショック(低血量性ショック)や外傷性ショックによってそれ以下の出血でも死亡する危険性がある。

定期的に行われる健康診断や患者の希望によって行う人間ドックでは、必ず血液検査が行われるが、それは血液の成分に、身体の各器官・各組織の異常や変化が現れやすく病気の早期発見・早期治療につながるからである。血液の組成は、『血球成分(細胞性成分)』『血漿成分(液性成分)』から成り立っていて、その一般的な比率は『45:55』とされている。

血球成分を構成する血球の割合は、『酸素と栄養を運搬する赤血球96%・免疫能を発現する白血球3%・血液を凝固させる血小板1%』である。血漿成分の構成比率は、『水分96%・血漿蛋白質4%』であり、それ以外にも、微小量の糖分、脂肪、無機塩類などが血漿成分には含まれている。血液の組成は海水に近いものであり、体内に補液する場合に無害なものとして生理食塩水を用いるのはその為である。

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血漿成分からフィブリノゲンなどの血液凝固因子を取り除いたものが『血清』であり、血球成分の数や機能を調べる検査を『血液一般検査』といい、血清の部分を調べる検査を『血液生化学検査』という。それ以外にも、血液の免疫機能などを検査する『免疫血清学的検査』という血液検査がある。

採血検査では、肘の内側の静脈から採血をして検査するが、どれだけの分量を採血するかは検査の種類や目的によって異なる。現在の一般的な血液検査では、数ml(2~10ml)のごく僅かな採血量で多くの情報を取得することが出来る。血液一般検査では、1μl中の各血球の数を調べることになる。

現在の血液検査では、自動血球計測器で血球数を計測するので、時間をかけることなく瞬時に各血球の数が分かる。採血した血液を試験管に入れて、一定時間放置しておくと、上澄みの黄色い液体部分である『血清成分』と赤く沈殿する『血球成分』の二層に分離する。黄色がかった透明である血清成分の90%以上は水分だが、それ以外に、アルブミン・フィブリノゲン・グロブリンといったタンパク質、ブドウ糖や脂質といった栄養分を含んでいる。また、老廃物である尿素なども入っている。

血球の数と機能を検査する血液一般検査には、『赤血球数・白血球数・血小板数・出血時間・プロトロンビン時間・赤血球沈降速度・血液像』などの項目がある。全身の臓器や組織に酸素・栄養分を運搬する役割を果たしている赤血球が不足していれば、鉄欠乏性貧血などの疾患が疑われるし、身体を異物である細菌やウイルスの感染から守る免疫機能を担当する白血球が不足すれば感染症に掛かりやすくなり、血小板が不足すると出血時間が長くなり止血しにくくなる。

白血病細胞(ガン化した白血球や未成熟な血液細胞)の増殖が観察されれば、白血病の発症が疑われますが、特定の病気の診断のためには血液一般検査だけでなく組織の生検など総合的な検査を行う必要があります。しかし、血球数の検査によって色々な身体の健康状態がわかってくるので、血液一般検査は基本的でありながらも重要な欠かすことの出来ない臨床検査となっている。

血球数には個人差があるので、余り神経質に基準値にこだわる必要はないが、大幅に基準値からずれている場合には何らかの身体疾患が発病している可能性がある。ヘモグロビンを含み赤色をしている赤血球の直径は約8μ、1μl中に「約360~540万個」が基準値である。免疫能によって身体を細菌やウイルスから守る白血球の直径は約6~16μで、1μl中に「約3,200~8,500個」が基準値とされる。同様に、血小板の直径は約3μで、基準値は「約14~36万個/1μl」である。

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