このウェブページでは、「IQ(Intelligence Quotient,知能指数)」と「アイゼンク性格検査(Eysenck Personality Questionnaire)」の用語解説をしています。
知能指数とは、スタンフォード・ビネー式検査などの知能検査で測定されるもので、『相対的に数量化された知能の発達程度』を示す数値である。知能指数は、一般に、『精神年齢÷生活年齢(実際の年齢)×100』の計算式(シュテルンが提唱)で求められ、“100”を平均値としている。
知能指数とは、知的側面の精神発達の程度という意味で使用される『精神年齢』とほぼ同義である。知能指数でいう精神年齢は、一般的語法として使われる『成熟した物事の考え方や落ち着いた態度』といった意味ではない。また、知能指数によって人間の多様で複雑な知性を単純に比較することは出来ず、知能指数は知的障害(精神遅滞)などの発達障害を持った人たちに適切で有効な専門教育を行う為に行う一つの指標に過ぎない。
知能指数の高低によって、人間の社会適応や将来の成功・幸福の程度を事前に予測することも出来ないことが種々の研究から明らかになっている。現在では、理解力・推理力・計算力・判断力などを数値化するIQ以上に、ダニエル・ゴールマンが提唱した好ましい社会適応や人間関係につながる『EQ(Emotional Quality:情動指数)』の重要性が指摘されている。
心理検査(心理テスト)には、大きく分けて『性格検査(人格検査)』と『知能検査』がある。性格検査は、人間の個性を特徴付ける性格傾向を大まかに測定するもので、モーズレイ性格検査(MPI:Maudsley Personality Inventory)やミネソタ多面人格目録(MMPI:Minnesota Multiphasic Personality Inventory)などがその先駆けとして知られている。
MMPIは、現在でも標準的な多角的性格診断法として用いられる非常に長い質問紙法の性格検査である。MPIは、心身医学的疾患や神経症と関連する性格傾向を測定する質問紙法で、人間の人格を『内向性―外向性』の観点から見ることを基本としている。アイゼンク性格検査は、1975年に、特性因子論や性格心理学の研究者として知られるアイゼンクにより作成されたが、モーズレイ性格検査の影響を強く受けたものと言われる。『外向性・内向性尺度』『神経症傾向尺度』『虚偽発見尺度』『精神病傾向尺度』を持つ精神医学的な性格検査である。
しかし、アイゼンク性格検査で測定されるP尺度(精神病傾向尺度)は、統合失調症(精神分裂病)やうつ病(気分障害)の傾向を測定するものではなく、『冷淡で非社交的であり、他人と打ち解けることの難しい性格』を意味する。P尺度は、現在の精神医学で考えると、人格障害の下位分類である『精神病質人格障害』に近いものだといえる。
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