仕事のやる気(モチベーション)と職務満足度

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このウェブページでは、『仕事のやる気(モチベーション)と職務満足度』の用語解説をしています。

職務満足度(職務満足感)を規定する各種の要因

職務満足度の研究の歴史と意義


職務満足度(職務満足感)を規定する各種の要因

産業心理学・人事労務管理の分野では、『職務満足度・職務満足感(job satisfaction)』は労働意欲や仕事のモチベーション(やる気)と関係する重要な職務態度の一つとして定義されている。企業活動や仕事・職場において自分が果たすべきことが期待されている役割・業務・成果が『職務』であり、その職務にどれくらい満足感を感じられているかが『職務満足度』である。

18世紀のイギリスの産業革命や工場労働を経て始まった、企業に雇われて働くサラリーマン(給与労働者)としての労働形態では、長らく『賃金(給料)とその金額の大小』が最も大きな職務満足度の規定要因であった。20世紀半ばまで、ほとんどの企業労働では『労働の再生産(日々の最低限度の家庭生活)』に必要なだけの賃金しか支払われていなかったので、自分と家族が生きるための賃金を得ることが至上命題であり、賃金を得る以外の要因を考えにくいタイプの肉体労働(体力的にきつい単純作業の反復)が多かったのである。

経済活動が発達して平均所得や生活水準が向上したり、教育水準が高まって知識労働(専門性・創造力・想像力・遊び心が必要な仕事)が増えたりしたことで、『職務満足度に影響を与える要因』はさまざまな領域や価値観、仕事観へと多様化していった。

20世紀以前にも、自分の仕事に誇りや喜びを持ってその道の技術・見識を高めていくという『職人的(熟練労働的)な働き方』はあったのだが、20世紀後半以降の高学歴化・専門化・クリエイティブ化などは、『苦しみ・つらさもあるが仕事そのものを楽しめる型の仕事』を多く生み出すという劇的な職業観・教育観の変化をもたらしたのである。

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豊かな経済社会や高学歴化社会において職務満足度に影響を与える典型的な要因としては、『職場の人間関係・専門性や創造性の発揮・職業を通した自己実現(自己成長)』といったものがあるが、職務満足度を規定する諸要因を整理すると以下のようになる。

『仕事そのものが好きな人』『非仕事領域の遊び・娯楽・リラックスが好きな人』は、全く異なる価値観を持つ二人として両極端に分かれるわけではなく、『やりがいのある仕事を懸命に頑張るスタイル』『仕事を頑張った後の非仕事領域の人間関係・遊び・娯楽を楽しむスタイル』は、一人の人間の働き方・生き方の中で両立させることが可能なものであり、更に両立させることが望ましいものでもあるのだ。

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職務満足度の研究の歴史と意義

産業心理学の分野で『職務満足度・モチベーションの研究』が行われるようになったきっかけは、“離職・退職・遅刻・無断欠勤・怠業(サボタージュ)”などの『人事労務管理上の問題行動』の原因・要因を発見して、企業の利益・生産性に悪影響を与えるそれらの問題行動を減らす効果的な対策ができるようにするためであった。

『採用試験・採用面接・実地研修』などのコストをかけてせっかく新たな人材を採用・教育しても、早期に離職や退職をされてしまうと企業にとっては『人件費・機会コスト・時間コストの大きな損失』になってしまうので、職務満足度を高めることによって離職・退職を減らすことには大きな価値があるのである。

営利組織である民間企業の目的は『利潤の獲得・生産性の向上』であるが、企業が生産性・効率性を高めてより多くの利潤を獲得していくためには、『モチベーションが高くて成果の出せるやる気のある人材』『職務満足度が高くてすぐにやめない人材+怠けない労働意欲のある人材』が絶対的に必要である。

職務満足度の高さとモチベーション(動機づけ)の高さは、直接的・間接的に『企業の生産性の高さ』『有能な人材の離職率や退職率の低さ』に影響を与えているので、組織の利益・効率を高めていく上でも、どのような要因が従業員の職務満足度に影響を与えているのかを知ることは重要なのである。

現在でも『賃金・給料の高さ』は、労働者の職務満足度やモチベーション(動機づけ)に大きな影響を与えているのだが、時代・社会が豊かになって日常生活に困らなくなり様々な商品が身近に溢れてくると、『生活・お金のためだけに仕事をしたいという人』が相対的に減少してくる傾向がある。

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その結果として、いくら給料が高くても『自分の興味関心が湧かない仕事(知的・創造的なやりがいの感じられない仕事)』や『長時間の拘束や精神的な強い負担がある仕事』を敬遠する人、仕事を選り好みする人も増えてきやすい。消費文明が爛熟した贅沢な現代社会では労働意欲を高めるという意味でも、『仕事そのものの意味・価値』にこだわったり追求したりする必要性が出てきているのだが、特に『働きがいのある仕事・自己実現+社会貢献の感覚のある働き方』のニーズが極めて高くなってきている。

『職務満足度の高さを規定する働き方・生き方の要因』を研究する意義の一つは、自分の人生と仕事との関係性を正しく前向きに認識しやすくなるということであるが、更に豊かになった現代社会の中で生き生きと働き続けるため(仕事に対する虚無感・無気力・無関心に陥らないため)の指針・着想を得やすくなるということもある。

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