フルニトラゼパムの効能・作用・副作用

フルニトラゼパムについての基本情報

フルニトラゼパムの効能・作用……効能は『睡眠障害(不眠症・入眠困難・熟眠障害・中途覚醒)・異型小発作・麻酔前投薬』です。感情中枢である大脳辺縁系や内分泌中枢の視床下部に作用することで、脳の過剰な興奮を抑制して自然に近い睡眠へと誘導する薬です。

脳内のベンゾジアゼピン1(BDZ1)受容体に作用する『ベンゾジアゼピン系(BDZ系)』の睡眠薬であり、適度な鎮静・催眠効果を発揮しながらも副作用が少なく、比較的安全な睡眠薬とされています。フルニトラゼパムは抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜にあるベンゾジアゼピン受容体にアゴニストとして結合し、神経活動を抑制させるGABAニューロンの働きを強化して眠りやすくします。

フルニトラゼパムは作用時間が中程度の『中間型の睡眠薬(血中半減期は約7時間)』に分類されていますが、その薬理作用は同系統のニトラゼパムと比較して約5倍であり、入眠困難の苦痛が強いなかなか眠れない人は効果が期待できます。抗不安作用・筋弛緩作用も合わせて持っていますので、ストレス性の不安感・緊張感が強くて悩んでいる人にも処方されることがあります。

フルニトラゼパムの商品名……サイレース(エーザイ)、ビビットエース(辰巳化学)、フルトラース(シオノ)、フルニトラゼパム(共和薬品)、ロヒプノール(中外製薬)

平均的な用法・用量……1回0.5~2.0mgを就寝前に1回服用するが、『年齢・症状・病態』によって分量は調整する。

副作用……眠気、めまい、脱力感、ふらつき、運動失調、倦怠感、口渇、頭痛・頭重、尿失禁など。眠気やふらつき、めまいなどの副作用があるので、『車の運転・機械の操作』といった危険な作業はしないようにしてください。

薬の影響である眠気やふらつき、思考力低下(集中困難・反射神経の低下)が、翌朝以降にまで持ち越されることがあるので注意してください。アルコールとの併用は禁忌です。

重大な副作用(発症頻度は低い)……依存症(本剤は耐性の形成はしづらいとされるが長期連用で依存性が生じることがある)、錯乱・興奮の精神症状、離断症状(急に断薬すると不眠・不安・イライラ・パニック・振戦・幻覚などの症状がでる危険性がある)、呼吸抑制(炭酸ガスナルコーシス)など。

注意・禁忌……『注意を要する人』は、肝機能障害、腎機能障害、心臓疾患、脳の器質障害、体力低下のある人、薬物過敏症の既往がある人、妊婦、高齢者など。他の向精神薬を服用している人は相互作用に注意する必要がある。

『処方してはいけない禁忌』は、重症筋無力症や急性閉塞隅角緑内障、喘息・肺気腫で呼吸機能低下がある人、睡眠時無呼吸症候群、本剤で過敏症を起こしたことがある人。

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