荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 第5部・黄金の風 3巻(32巻)』の感想

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ギャング組織パッショーネのボスを裏切ったチームから命を狙われる事になったブチャラティたち6人。幹部ポルポの隠し財産6億円を手に入れたことで、ブチャラティは幹部の座を手に入れたが、ボスからわがまま娘のトリッシュを一週間護衛せよとの命令を受けることになった。

トリッシュはボスの秘密を知る数少ない存在であり、裏切り者のグループはボスの弱味を握って莫大な麻薬利権を奪い取るためにトリッシュを拉致しようと企てていたのだった。ナランチャはブドウ畑の近くにある隠れ家がばれないように買い物をしてくるという役割を託されたのだが、そこにホルマジオという短髪のやばそうな刺客が送り込まれてくる。

今まで出現することがなかったナランチャのスタンド『エアロスミス』の能力が明らかになる。エアロスミスは戦闘機の形で機関銃やミサイルをぶっぱなすことのできる強力なスタンドだが、ホルマジオの『リトル・フィート』というスタンドも自分や相手を小さくすることができるという特殊能力を持っている。

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敵を小さくすれば実質的に無力化することができるし、そこで自分が大きくなれば簡単にひねりつぶすこともできる。そして自分自身を小さくしていけば、敵から自分の姿を隠して逃げ切ったり策略を巡らしたりできる。

子供時代の早くに母親から死なれて、父親から粗末に扱われていたというナランチャの過去のエピソードも紹介されている。

家族との親密さをほとんど経験できなかったナランチャは『友情』に心の支えを求めることになったが、金髪の悪がきの先輩に騙されて少年院に入ることになる。少年院の不衛生な環境で、死んだ母親と同じように目を患ったナランチャは、15歳にして人生を捨ててゴミを漁るホームレスのような生活をしていた。

そんな哀れな境遇に落ちたナランチャを救済してくれたのがフーゴとブチャラティだった。

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病院に行かせて目の治療までしてくれたブチャラティらのギャングの仲間になりたいと思ったナランチャだが、まだ子供だったためにブチャラティから甘い考えを持つなと一喝されて怒られる。その怒りに、真の思いやりや愛情を感じたナランチャは、秘密にして幹部ポルポの入団試験を受けに行って、見事に合格したのである。

元ギャングの暗殺部隊だったホルマジオは『ボスの秘密』を探ろうとして、仲間二人を見せしめに異常な恐ろしい方法で虐殺されたという過去のエピソードを持っていて、ボスに対する復讐の機会を伺っていた。『ボスの娘』からボスの秘密を聞き出すことで、恨みのあるボスに報復ができると考えているのである。

元警官だったアバッキオの過去は、腐敗した街の構造の中で賄賂を受け取って犯罪を見過ごす『汚職警官』だった。一度お金と引き換えに見逃してやった男が今度は強盗犯になっていて、『俺が捕まったら賄賂を送ったことをばらす』と脅迫され、逮捕を躊躇している時に拳銃を撃たれてしまう。その弾丸は仲間の警官を撃ち殺して、アバッキオは汚職警官として処分された。間接的に仲間を殺してしまった十字架(罪悪感)を背負ったアバッキオは生きがいを失って無感動になっていった。

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3巻の戦闘の見所は『ナランチャのエアロスミス』と『ホルマジオのリトル・フィート』のそれぞれの能力を生かした熾烈な戦いであり、特にエアロスミスの『敵の追跡能力(探索能力)の高さ』が徐々にホルマジオを追い詰めていくのである。

エアロスミスは生物が吐き出す二酸化炭素(CO2)を検知してその居場所を探し出すことができるが、特定の人間だけを探し出すことはできず、人間と動物を区別することができないという欠点もある。

次にボスから送信されてきた指令は、ポンペイの遺跡に行って『犬のゆか絵』のところにある鍵をみつけろというものだった。その鍵(キー)さえあれば、ボスのところまで娘を安全に連れて行くことができるというのである。

しかしポンペイにたどり着いたジョルノ・ジョヴァーナ、フーゴ、アバッキオを待ち受けていたのは、鏡の中の別世界に人間を引きずり込むことのできる特殊能力を持ったスタンド『マン・イン・ザ・ミラー』だった。それを迎え撃つのがフーゴの怒りを内に溜めに溜めた凶暴で不気味なスタンド『パープル・ヘイズ(紫の煙)』である。

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パープル・ヘイズが拳を使う時には何者も側にいてはならない……パープル・ヘイズのスタンドの能力は拳のカプセルを叩き割ることによって煙のように発生する『殺人ウイルス』の噴出であり、周囲にいるあらゆる生物の組織を細胞レベルまで腐食させて30秒以内に殺してしまう。

パープル・ヘイズは獰猛なスタンドであり、爆発するかのように敵を襲って、消える時には嵐のように立ち去ってしまうのだ。殺人ウイルスは『光』に非常に弱く、日光や照明にふれるとあっという間に毒性を失ってしまう。

マン・イン・ザ・ミラーも鏡を媒体にして『鏡の中の世界』に人間だけを引きずり込んで、スタンドの能力を使えないようにすることができ、フーゴは一方的にボコボコに殴られている。危機に落ちっている姿を消したフーゴを助けるか助けないかで、助けるべきとするジョヴァーナと鍵の入手を優先すべきというアバッキオは対立する。だが三人で協力して何とかマン・イン・ザ・ミラーの奇策を封じ込め、パープル・ヘイズの殺人ウイルスを叩き込むことに成功する。

鍵を手に入れて、ついに娘を待っている謎のボスの元へ向かうことになる。3巻で明らかになったナランチャのエアロスミスとフーゴのパープル・ヘイズは攻撃力・破壊力が抜群のスタンドで、戦闘シーンの見せ場が非常に多くて面白かった。次の巻以降で、謎のボスの正体も次第に明らかになってくるのだろうか、裏切り者のチームが持つスタンドとの戦いがますます楽しみになってくる展開だった。

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