哲学(philosophy)は現在では人文学の一分野となっていますが、古代ギリシア哲学から始まる真理探究の学問としての歴史を持ち、自然科学や社会科学を生み出した諸学問の母胎でもあります。哲学の語源は『知を愛すること』であり、言語的・概念的な思索と政治的・実践的な行為によって『普遍的な原理』を追い求めていきます。
ソクラテスやプラトンから始まる古代ギリシア哲学では、『形而上学的な真理(真・善・美)』を探究しながら、その普遍的な知識を実際の政治や市民生活にも応用しようとしました。歴史の時間軸が進み、基礎にある知識や経験が増えるにつれて、『哲学のパラダイム(理論的枠組み)』はより論理的かつ科学的(実践的)なものへとシフトしていきました。
古代ギリシア以来の形而上学、キリスト教の神学のようなドグマ(教条主義)は、思弁的・主観的な哲学であり、その理論や主張に客観的な根拠が乏しいという弱みがありました。ガリレオ・ガリレイやジョン・ロックなどが出現して近代哲学の時代に入ると、哲学の分野でも『客観的な観察・実験』や『論理的な分析・検証』を重視する流れが生まれてきました。
啓蒙的な近代哲学は、イギリスの経験主義とドイツの合理主義を融合することで、客観的に仮説理論の正しさを検証する『自然科学の方法論のパラダイム』へと哲学をシフトさせました。自然科学の仮説演繹法や帰納推測法を軸とするパラダイムシフトが、哲学と科学の分離を進めることになりました。自然科学的な方法論や理論の検証によって、『自然界のメカニズム・物理法則・化学法則』をより正しく定式化して記述しやすくなったのです。
思弁的・主観的な哲学から経験的・合理的な科学が分離していきますが、その後の哲学に残された分野・領域には、『言語哲学(分析哲学)・倫理学(生命倫理)・科学哲学・実存主義(生きる意味や価値の探求)・社会批判(社会改善の提言)』などがあります。
哲学は『既存の常識概念・支配的な社会通念』を自分の頭で一から考え直してみる根本的な営みです。根本的な思索の営みを通して、新たな世界像・社会観を提示してみたり、さまざまな事象の概念化や実存的な意味の探究をしてみる知的で主体的なチャレンジが哲学なのです。誰にでも根本原理を説明できるような概念・思想を考案して、新たな世界像・社会観・人間観をロジカルに組み立てていき、それを個人や社会の実践にも応用していくのです。
このページでは、哲学の『概念・思想・人名と略歴・歴史と時代背景』などを『哲学の事典』を編纂していくような形で解説していきます。
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