一夜検校(いちやけんぎょう)

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一夜検校
(いちやけんぎょう)

[意味]

一晩の間に(ほんのわずかな時間に)、裕福になることや裕福になった人を意味する。短期間でお金持ちになった「成金」のことである。

江戸時代に、千両のお金を寺社・役所に納めて、盲人に与えられる最高の官位である「検校(けんぎょう)」を得た人のことを、一夜検校と呼んでいた。検校とは「検 (あらた) め校 (かんがえ) る」という意味から作られた言葉であり、物事を調べて正すといった意味合いがある。

中国では東晋時代から検校という官職があり,唐では「検校官」と呼ばれていた。日本では推古32年 (624年)に、僧・尼僧を監督する官職として検校が置かれたが、平安・鎌倉時代には貴族・寺社の荘園の事務管理をする官職として検校があった。

大きな寺社で総務を監督する僧官の名称でもあるが、室町時代以降の検校は『盲人の最高の官位』として定着した。検校は『建業』とも書かれ、専用の頭巾・衣服・杖などの所持が許されていたが、検校の官職を得るためには多額のお金を納めなければならなかったという。惣検校(総検校)の下に、検校・別当・勾当(こうとう)・座頭(ざとう)などの官位があり、『平曲・地歌・箏曲(そうきょく)・鍼灸(しんきゅう)・按摩(あんま)』などに従事していた。

[類義語]

俄成金(にわかなりきん)・俄分限(にわかぶげん)

[用例]

株式投資で一夜検校となったあの人は、人生の絶頂期を迎えたかのようだった。一夜検校の虚しさか、彼には積み重ねてきた人間性や教養というものがない。一代で会社を起業して成り上がった一夜検校ではあるが、あの社長の手腕と人望は侮ることができない。

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『新明解四字熟語辞典 第二版』(三省堂),『大修館 四字熟語辞典』(大修館),竹田晃『四字熟語・成句辞典』(講談社学術文庫)

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