網呑舟の魚を漏らす
(あみどんしゅうのうおをもらす)
[意味]
『呑舟の魚(どんしゅうのうお)』というのは、舟を丸呑みにするような大魚のことで、『大悪人・大罪人』のことを表している。網の目が粗いために大罪人を逃してしまうということ。
そこから転じて、法律の網の目が粗いために、大罪人(大悪人)をみすみす逃してしまうということ。法律の抜け道が多いいわゆる『ザル法』の欠点を指していうことわざである。
[類義のことわざ]
大魚は網を破る(たいぎょはあみをやぶる), 天に目なし(てんにめなし), 呑舟の魚(どんしゅうのうお)
[対義のことわざ]
天道様は見通し(てんとうさまはみとおし), 天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)
[英語のことわざ]
A coach-and-six may be driven through an act of Parliament.
(有力者が乗る六頭立ての馬車は、議会・法の網を駆け抜けていくことができるだろう。)
[用例]
精神鑑定で心神喪失と認定された残酷な連続殺人犯に対して、『網呑舟の魚を漏らす』の悔しさ・憤りを抱いている被害者遺族は多い。
『網呑舟の魚を漏らす』というような抜け穴の多いザル法は、まるで頭の良い犯罪者に対して逃げ得を促しているようなものではないか。
参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)
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