石に漱ぎ流れに枕す(いしにくちすすぎながれにまくらす)

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石に漱ぎ流れに枕す
(いしにくちすすぎながれにまくらす)

[意味]

負け惜しみが強くて、自分の間違いを認めないこと。

屁理屈・言い訳で、自分の間違いを正当化したり言い逃れしたりすること。

『心』『ぼっちゃん』『吾輩は猫である』などの名作で知られる明治の文豪・夏目漱石(なつめそうせき)の号である“漱石”も『石に漱ぎ流れに枕す』の故事から取られたとされる。

[出典]

中国の史書『晋書(しんじょ)』に基づくことわざである。

晋の孫楚(そんそ)は、俗世を離れて深山幽谷で隠遁生活をしようと考えていた。孫楚は王済(おうさい)に『石に枕し流れに漱ぐ(いしにまくらしながれにくちすすぐ)』というべきところを、間違って『石に漱ぎ流れに枕す』と言ってしまったのである。

王済は『水の流れを枕にすることはできず、石で口をすすぐことはできない』と返答したが、自分の間違えを認めたくない孫楚は『流れを枕にするというのは耳を洗うためであり、石に漱ぐというのは歯を磨くためである』と強引な屁理屈で言い返してきた。この『晋書』にある故事のエピソードから、負け惜しみが強いこと、理屈のこじつけで自己正当化することを『石に漱ぎ流れに枕す』というようになったのである。

[類義のことわざ]

流れに枕し石に漱ぐ(ながれにまくらしいしにくちすすぐ)、 漱石枕流(そうせきちんりゅう)

[対義のことわざ]

石に枕し流れに漱ぐ(いしにまくらしながれにくちすすぐ)……自然にある石を枕にして眠り、川の流れで口をすすぐということ。俗世間や煩悩を離れて、自然(深山幽谷)の中で自由気ままに隠棲すること。

[用例]

第一志望の大学に落ちた彼は、『石に漱ぎ流れに枕す』かのように、あの大学は教授陣の研究テーマや指導力に問題が多いと聞くから、受験に合格できずにかえって良かったと言っていた。

一方的に振られた恋人に対して『自分もそろそろ別れたいと思っていたので』とメールの返信をしたのだが、『石に漱ぎ流れに枕す』る虚しさや強がりがそこにはあった。

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参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)

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