羹に懲りて膾を吹く
(あつものにこりてなますをふく)
[意味]
熱い吸い物で火傷したことがある人が、それに懲りてしまって、冷たい酢の物まで吹いて冷まそうとすること。
そこから転じて、一度失敗した人がそれに懲りてしまって、無意味な警戒や過剰な用心をすることの喩えである。
『羹(あつもの)』というのは古代の料理で、熱い吸い物のことである。羹を『熱物』と表記するのは漢字表記の間違いである。『膾(なます)』というのは、酢で味付けをした冷たい料理のことである。
[類似のことわざ]
蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる(へびにかまれてくちなわにおじる)
[英語のことわざ]
A burnt child dreads the fire.
(火傷をした子供は、火を怖がる。)
[用例]
10年前に自動車で人身事故を起こしてしまったことが教訓となり、私は今でも『羹に懲りて膾を吹く』ような慎重すぎるほどの安全運転を心がけ続けている。
人は石橋を叩いて渡るような私の臆病な性格を笑うけれど、『羹に懲りて膾を吹く』ようなこの消極的な生き方をどうしても変えることができず、自分でもずっと悩み続けているのだ。
参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)
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