痘痕も靨
(あばたもえくぼ)
[意味]
その人を深く愛していれば、醜い痘痕(あばた)もかわいらしい靨(えくぼ)のように見えるということ。
好きな人を見る時のように、贔屓目(ひいきめ)に見れば、欠点も長所に見えてくるという意味。必ずしも外見的な美醜の欠点だけに限らず、さまざまな側面の欠点が長所に見えるという意味でも用いられる。
あばたというのは、痘瘡という皮膚に症状が現れる伝染病の後遺症として、顔の肌の表面がでこぼこになったりひきつれを起こしたりした状態のことをいう。痘瘡の後遺症に限らず、ひどいにきびの後遺症などで顔の肌が極端にでこぼこしている状態のことをあばたということもある。
[類似のことわざ]
愛してその醜さを忘る(あいしてそのみにくさをわする)、惚れた欲目(ほれたよくめ)
[英語のことわざ]
Love covers many infirmities.
(愛は多くの欠点を隠す。)
[用例]
彼女に惚れ込んでしまった彼は、『痘痕も靨』で彼女についてどんなことについても手放しで絶賛していた。
社長が長年可愛がってきた子飼いの本田部長には、ずばずばと思ったことを口に出して他人の痛みが分からないという人格的な問題があったが、『痘痕も靨』で社長にはその欠点がまるで見えていないようだった。
参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)
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