殷鑑不遠
(いんかんふえん)
[意味]
古代中国の殷王朝の悪政(暴虐な支配)に対する歴史的な戒めに基づく故事成語の四字熟語である。殷(いん)の人が戒めとすべき手本は、遠い過去にあるのではなく、一つ前の王朝である夏(か)の滅亡の原因になった桀王(けつおう)の暴政にあるということ。夏の桀(けつ)と殷の紂(ちゅう)は、古代中国を代表する暴君・暗君であり、『桀紂(けっちゅう)』と呼ばれることもある。
そこから転じて、他人の失敗や過ちを自分自身の戒め(お手本)にするということの喩えである。『鑑』は『かがみ・手本』のことであり、今でも『妻の鑑(かがみ)』といった用法が残っている。
『殷鑑不遠』は、『殷鑑(いんかん)遠からず』と書き下すこともできる。
[出典]
『詩経』 大雅・蕩(たいが・とう)
[類義語]
他山の石(たざんのいし), 人のふり見て我がふり直せ
[用例]
奥さんを裏切って不倫していた同僚は、離婚されて仕事も失ってしまったようだ、『殷鑑不遠』として俺も気を引き締めなければならない。
宝くじが当たった隣の家族は当選金の配分で大いに揉めている、『殷鑑不遠』で大きなお金が入った時にこそ家族との信頼関係が問われるのだ。
『殷鑑不遠』で他人の失敗や過ちから人生の知恵を学んできたつもりだったが、今日の失敗によって自分がまだまだ不勉強であることを思い知らされた。
参考文献
『新明解四字熟語辞典 第二版』(三省堂),『大修館 四字熟語辞典』(大修館),竹田晃『四字熟語・成句辞典』(講談社学術文庫)
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