移木之信(いぼくのしん)

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移木之信
(いぼくのしん)

[意味]

政治家や権力者は、人民に嘘をつかないことを明言すべきだということ。人民を統治(支配)する政治権力を預かる者は、人民を欺かないようにしなければならないということ。

政治家・政治とは無関係に、人に嘘をつかないこと、約束をきちんと守ること、約束を誠実に実行することといった一般的な意味で用いられることもある。

[出典]

『史記 商君伝』

古代中国の戦国時代において、法家の思想家・政治家である秦の商鞅(しょうおう)は、自分の法令・法律の絶対性(法に違反すれば必ず処罰する)を証明するために、『人民と交わした本質的には無意味な約束』をきっちり守ったという故事に由来している。

商鞅は市の南門に立てた木を北門に移した者に、高額な懸賞金を与えるという約束をした。実際にそんな賞金をくれるのだろうかと疑いながらも木を移した者に、商鞅は本当に大金の賞金を与えた。このことによって、自分がした約束(自分が定める法律)は例外なく必ず守られる、権力によって法が間違いなく執行されるということを人民に証明した。

[類義語]

徙木之信(しぼくのしん)

[用例]

政党間で政策を競い合うマニフェスト選挙を本当に実りあるものにするためには、移木之信をまずは確立しなければならない。

法治主義の根幹は、国民が遵法精神を持つことであるが、その前提として国政・立法を預かる政治家たちは移木之信の模範を示さなければならない。

移木之信が軽んじられて久しいこの国の政治の舞台では、毎年のように政治家が汚職・背任で逮捕されている悲しい状況がある。

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参考文献
『新明解四字熟語辞典 第二版』(三省堂),『大修館 四字熟語辞典』(大修館),竹田晃『四字熟語・成句辞典』(講談社学術文庫)

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