一殺多生
(いっせつたしょう,いっさつたしょう)
[意味]
仏教用語で、大勢の人の生命を救うためには、一人を殺すこともやむを得ないということ。
大きな利益や救済のためには、小さな被害・犠牲を不本意ながらも我慢しなくてはならないことがあるという功利主義的な考え方・価値観を意味している。
功利主義(utilitarianism)とは哲学者のジェレミー・ベンサムやジョン・スチュアート・ミルによって提唱された『結果としての利益』を重視する思想であり、ベンサムは特に『最大多数の最大幸福』という量的な利益の増加を重視する思想を持っていた。
[出典]
[類義語]
[用例]
大震災に見舞われた時、知人を助けるために倒壊した家屋に戻れなかったことは、一殺多生とはいえ悔やまずにはいられないことである。
人質が犠牲になろうとも『テロに屈さない』という政府の方針は、一殺多生の価値観に基づくものでもあった。
私は一殺多生という、少数者を犠牲にすることを仕方がないと肯定するような仏教の概念には否定的である。
参考文献
『新明解四字熟語辞典 第二版』(三省堂),『大修館 四字熟語辞典』(大修館),竹田晃『四字熟語・成句辞典』(講談社学術文庫)
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