一旦緩急(いったんかんきゅう)

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一旦緩急
(いったんかんきゅう)

[意味]

一度(ひとたび)、大事が起こった場合には。いったん、大きな危機が生じた時には。いざという場合には。

戦前の日本の『教育勅語』には、『一旦緩急有れば義勇公に奉じ、以て天壌無窮(てんじょうむきゅう)の皇運を扶翼……』とある。

『一旦、緩急あれば』の略の四字熟語である。この場合の『緩急(かんきゅう)』というのは、緩いと急の二つの意味はなく、ただ『急ぐ(急な大事)』の意味だけがある。こういった対義語の漢字を組み合わせながらも、どちらか一方だけの漢字の意味を強調している語法のことを『偏義複辞(へんぎふくじ)』という。

[出典]

『史記』 袁オウ伝

[類義語]

いざ鎌倉

[用例]

古代ギリシアのポリスでは都市共同体の存立を脅かすような事態が起こり、一旦緩急あればポリスの市民(貴族)たちが戦士となって勇敢に戦った。

一旦緩急有れば自らの命も惜しまずに奮闘するというのが、戦争を前提とした近代国家の国民教育の成果であり悲劇でもあった。

長らく戦争や徴兵のない平和な時代においては、一旦緩急有ればの精神を維持することは難しいものだが、それは長い歴史に照らしても幸福なことでもある。

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参考文献
『新明解四字熟語辞典 第二版』(三省堂),『大修館 四字熟語辞典』(大修館),竹田晃『四字熟語・成句辞典』(講談社学術文庫)

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