曳尾塗中
(えいびとちゅう)
[意味]
責任のある高い地位に就いて窮屈な生活を送るよりも、貧しくても自由に生きられる生活のほうが良いということ。
あるいは、貧しくても自由な生活を謳歌して楽しむということ。
『尾を塗中に曳く(おをとちゅうにひく)』と訓読する。『塗中』は『泥の中』という意味である。
[出典]
『荘子』の秋水
楚王から宰相になるように要請された荘子が、『亀は殺されてその甲羅を神聖視されるより、泥水の中で尾をひきずって自由に這いずることを望むだろう』と言って断った故事からできた四字熟語である。古代中国では、亀の甲羅を火であぶって国の大事や興亡を占う『亀甲占い』が行われていたので、亀の甲羅は神聖なものとして珍重されていた。
[類義語]
犠を畏れて聘を辞す(ぎをおそれてへいをじす)
[用例]
エリートサラリーマンの地位を捨てて田舎で家業を継いでからは、『曳尾塗中』の暮らしを楽しんでいる。
優越感に駆られて他人と自分の生活水準をあれこれ比較しなければ、マイペースで『曳尾塗中』の楽しい人生を謳歌することもできるのだ。
参考文献
『新明解四字熟語辞典 第二版』(三省堂),『大修館 四字熟語辞典』(大修館),竹田晃『四字熟語・成句辞典』(講談社学術文庫)
トップページ> Encyclopedia>
日本の古典文学> 四字熟語・故事成語>現在位置
プライバシーポリシー