結婚している夫婦の男性側を表現する言葉として、「夫・主人・旦那・亭主」がありますが、それぞれの意味を理解して使っているでしょうか?結婚している相手の男性を呼ぶ時には、状況・場面・相手に応じて、「夫・主人・旦那・亭主の呼び方」を使い分ける必要があります。
フォーマルな場面でそれほど親しくない相手に向かって、「旦那・亭主」という言葉を使うと、相手に違和感を与えたり常識がない人と思われたりする恐れもあります。この記事では、「夫・主人・旦那・亭主」の違いを詳しく説明していきます。
「夫」とは?
「主人」とは?
「旦那」とは?
「亭主」とは?
「夫・主人・旦那・亭主」の違いのまとめ
違いの事典:1
「夫(おっと)」とは、「妻と結婚している男性(その女性の配偶者である男性)・結婚している夫婦のうちの男性側」を意味している言葉です。
「夫」という既婚男性の呼び方はもっとも一般的なものであり、「公的な場面(フォーマルなシーン)」でも「私的な状況(プライベート)」でもどちらでも違和感なく使用することができます。
妻が自分の配偶者を呼ぶ時にも、第三者の配偶者である男性を呼ぶ時にも使えますが、「対面している相手の配偶者を呼ぶ時」には使えません。つまり、相手と会話している時に「あなたの夫が~」という言い方はできず、「あなたのご主人が(旦那さんが)~」という言い方のほうが適切な言葉遣いになります。
「主人(しゅじん)」とは、「妻と結婚している男性の敬称(その女性の配偶者かつ扶養者である男性)・結婚している夫婦のうちの男性側を意味する敬称」を意味している言葉です。
「主人」は「夫」よりも敬意のこもった丁寧な言葉で、妻が自分の配偶者を立てて呼ぶ時にも、第三者の配偶者である男性を敬意をこめて呼ぶ時にも使えます。
ただし、「主人」という言葉には「主人と従者(下僕)・主人と被用者(雇われている人)・主人と奴隷のような主従関係・上限関係」の意味のニュアンスもあるので、近年は男女平等主義・男女共働きの風潮などから使用を避ける人も増えています。
例えば、夫同等に働いて稼いでいる妻(さらに育児も中心的にしている妻)などの場合には、「自分のほうが家庭家計・子育てに多く貢献しているくらいなのに、相手だけを主人と殊更に立てて呼ぶ(へりくだって自分を従者のような立場にしてご主人様みたいに呼ぶ)のは納得しづらいし、男女平等の観点からもおかしい」といった感覚・感性も出てきているのです。
「旦那(だんな)」とは、「妻と結婚している男性のくだけた言い方」や「結婚している夫婦のうちの男性側を意味する敬称」を意味している言葉です。
「旦那」という呼び方は自分の配偶者を呼ぶ時にも、話し相手の配偶者を呼ぶ時にも使える言葉ですが、「かしこまった場面・フォーマルな状況(公的な場面)・初対面やそれに近い相手(親しくなくて距離のある相手)」では使わない特徴があります。
「旦那」の言葉の語源は「寺院に寄付寄進をする施主=檀那・お布施」にあり、その意味が転じて「お金を出してくれる支援者・扶養者・パトロン」を意味するようになりました。そこから更に、「妻の夫(扶養してくれる夫)に対する敬称」や「奉公人・被用者の主人(雇ってくれる人)に対する敬称」の使い方が生まれたのです。
「旦那」は元々は「敬意をこめて夫を呼ぶ時の言葉」でしたが、現代ではカジュアルでくだけた俗語に近い表現になっていて、基本的に「親しい関係にある相手・友人知人」とのやり取りにおいて使われやすい言葉になっています。
また現代では「主人」と同様に経済的に支援したり扶養したりのニュアンスがある「旦那」も、「上下関係・主従関係をイメージさせるので使いたくない」という人も出てきています。
「亭主(ていしゅ)」とは、「妻と結婚している男性の敬称(その女性の配偶者あるいは扶養者である男性)」や「(主人というニュアンスのある)結婚している夫婦のうちの男性側」を意味しています。
「亭主」の語源は、「一家のあるじ・その家の主人」や「宿屋・茶店などを経営している主人」にあります。そのため、元々は「その家のあるじ(主人)である人物」を意味する敬意の込められた呼び方でしたが、現代では「亭主」は「旦那」と並んでくだけた夫の呼び方になっています。
そのため、「亭主」は「フォーマルな場面・かしこまった間柄の相手とのやり取り」では使われず、「プライベートな場面・親しい間柄の相手とのやり取り」で使われやすい特徴があります。
「夫・主人・旦那・亭主」の違いは、もっとも一般的で相手や状況を選ばない配偶者の呼び方として「夫」があり、それ以外の呼び方には「一定の上下関係・主従関係のニュアンス」や「きちんとしていないくだけたニュアンス」があるという違いがあります。
ただし「夫」も「対面している相手(話している相手)」の配偶者を呼ぶ時には使えないので、その場合は相手の配偶者を示す言葉として「ご主人・旦那さん」といった言葉を使うことになります。
かしこまった場面やフォーマルな場面でも使える配偶者の呼び方は「夫・主人」であり、「旦那・亭主」はややくだけた言い方なので、プライベートな場面や親しい相手とのやり取りで使うという違いも指摘できます。「夫」という言葉には「妻との間の上下関係・扶養(妻子を養う)・敬意のニュアンス」がありませんが、「主人・旦那・亭主」には「配偶者あるいは扶養してくれる人(妻子・家庭維持のためのメインの稼ぎ手)である夫を、妻よりも上の立場に置くという上下関係のニュアンス」があります。
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