燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや
(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)
[意味]
小者(小人物)には、大者(大人物)の遠大な志・目標などは分からないということのたとえである。小者を小さな鳥である『燕雀(えんじゃく)』に喩え、大者を大きな鳥である『鴻鵠(こうこく)』に喩えている。
司馬遷(しばせん)の『史記・陳渉世家』に基づく故事成語である。古代中国・春秋戦国時代の楚王・陳渉(ちんしょう)は若い頃には雇われて農作業をしていた。貧しい身なりをした農夫・陳渉は雇い主に向かって、『私が立身出世して富貴な身分になっても、お互いのことを忘れないようにしよう』と語りかけたが、農場を所有する雇い主はお前などが富貴な身分になれるはずがないと嘲笑して相手にしなかった。
それを見た陳渉は溜め息をつきながら、『燕雀(つばめ・すずめ)のような小鳥には、鴻鵠(おおとり・くぐい)のような大きな鳥が志す内容は理解することができない。』と語ったという故事がことわざの元になっている。
[類義のことわざ]
猫は虎の心を知らず(ねこはとらのこころをしらず)
[英語のことわざ]
[用例]
卑賎な力のない身分で大志を抱いても笑われるが、『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』、今に見てろという思いで悔しさをバネにして頑張っている。
『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』、私の偉大な理想や高遠な目標は凡人には分からないだろうが、分かる人が分かってくれればそれでいいのだ。
参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)
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