牛に対して琴を弾ず
(うしにたいしてことをだんず)
[意味]
能力がない者や愚かな者に、いくら立派な道理を説いて聞かせてもまったく意味(効果)がないということのたとえである。
古代中国で、魯(ろ)の国に公明儀(こうめいぎ)という礼楽を好む士がいた。その公明儀が牛に向かって琴の名曲を弾いて聞かせても何の反応もなかったが、蚊(か)・虻(あぶ)の羽音や子牛の鳴き声に似せて音を出すと、興味を持って尾を振ったり耳をそばだてたという故事に由来している。
[類義のことわざ]
犬に論語(いぬにろんご)、 兎に祭文(うさぎにさいもん)、 牛に経文(うしにきょうもん)、 馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
[英語のことわざ]
[用例]
いくら言って聞かせても分からない札付きのその不良少年には、素晴らしい道徳的な古典も熱血先生の指導も『牛に対して琴を弾ず』ようなもので効果がなかった。
クラシック音楽に何の造詣も興味もなかった私が、会場で生のオーケストラの演奏を聴くことができたこの体験は、『牛に対して琴を弾ず』という感じの勿体なさがないわけでもなかった。
参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)
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