「刑務所・留置場・拘置所・懲役・禁固・拘留」の違い

法律に違反すると警察に逮捕される可能性があり、犯罪を犯して裁判所で有罪判決を受ければ「懲役・禁固」などの自由刑を受けることもあります。犯罪を犯すと「刑務所」に入るというイメージが強いですが、実際には有罪判決を受けていない段階では「留置場(警察署内)」や「拘置所」で身柄を拘束されることになります。

しかし、「刑務所・留置場・拘置所」がそれぞれどのような刑事施設(収容施設)で、どんな人たちが入れられるのかを詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか?また犯罪者(被告)に対する刑罰である「懲役・禁固・拘留」にも違いがあります。

この記事では、「刑務所・留置場・拘置所・懲役・禁固・拘留」の違いを詳しく説明していきます。

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「刑務所」とは?


「留置場」とは?


「拘置所」とは?


「懲役」とは?


「禁固(禁錮)」とは?


「拘留」とは?


「刑務所・留置場・拘置所・懲役・禁固・拘留」の違いのまとめ


違いの事典:1

「刑務所」とは?

「刑務所(けいむしょ)」とは、「自由刑(懲役・禁固)の有罪判決を受けた被告・受刑者を収容する刑事施設」を意味しています。「刑務所」というのは、「受刑者に対して自由刑の刑罰を執行するための刑事施設」のことなのです。

刑罰の一種である「自由刑」とは「犯罪者の身体・行動の自由を束縛する刑罰」のことで、具体的には「懲役・禁固」を指しています。

「刑務所」は明治時代頃まで「監獄・牢獄(牢屋)」という言葉で呼ばれていたのですが、大正時代の途中から「刑務所」という法律用語が用いられるようになりました。現在の「刑務所」は報復的な懲罰の意図は弱くなり、受刑者の「再教育と更生・社会復帰のための刑事施設」という側面が強くなっています。

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「留置場」とは?

「留置場(りゅうちじょう)」とは、「警察署内に設置されている(取調べ・逃亡抑止などの必要がある)被疑者を一時的に抑留するための施設」を意味しています。

「留置場」は有罪判決を受けた犯罪者(被告・受刑者)を法律にのっとって長期間収容する「刑務所」ではなく、「警察署内にある被疑者の一時的な勾留のための施設」です。そのため、「留置場・留置施設」の管轄は「法務省」ではなく「警察」になります。

警察官が被疑者を逮捕して警察署に連行した時には、取調べ・逃走抑止などのために必要と認められる場合、被疑者の身柄を一定時間の間だけ(10日間だけだが裁判官の判断でさらに10日間の延長もある)、警察署内の「留置場」に勾留することができるのです。

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「拘置所」とは?

「拘置所(こうちしょ)」とは、「有罪判決(自由刑)を受けた受刑者ではなく、まだ刑事裁判の判決が出ていない未決囚や死刑囚を収容するための刑事施設」のことです。「拘置所」の管轄は「法務省」になります。

犯罪の嫌疑がある被疑者(被告人)で、さらに逃走・証拠隠滅の恐れがある場合には、刑事訴訟法の定めにより「拘置所」でその被疑者を拘留することが認められているのです。

国内には「東京・大阪・名古屋・京都・神戸・広島・福岡の7ヶ所」に「拘置所」が設置されていて、さらに「103ヶ所の拘置支所」も置かれています。

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「懲役」とは?

「懲役(ちょうえき)」とは、「刑務作業(労務)が刑罰の一部として科される自由刑」のことを意味しています。「自由刑」というのは、「懲役・禁固・勾留」といった「受刑者の身体・行動の自由を奪う種類の刑罰」のことを意味しています。

「懲役」の刑罰では、木工品の製造・加工や金属製品の加工、衣類・家具・靴などの製造、刑務所内の炊事・洗濯・掃除・介護などの刑務作業(労務)が科されることになります。「自由刑」で実際に刑務所に収容される受刑者の大半は、執行猶予がつきやすい「禁固」ではなく「懲役」になっています。

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「禁固(禁錮)」とは?

「禁固(きんこ)」とは、「刑務作業を科されずに身柄だけを拘置される(行動の自由だけを奪われる)自由刑の一種」を意味しています。「禁固」の有罪判決を受けると、木工品や金属製品の加工、衣類・靴の製造といった刑務作業をする必要はありません。

ただし、刑務所内での暮らしは単調で退屈を覚えやすいため、受刑者が自ら願い出て「請願作業」のかたちで「刑務作業」に従事することも多くなっています。「禁固」の自由刑は「政治犯・過失犯」が対象になっていて、実際には執行猶予がつくケースが多くなっています。

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「拘留」とは?

「拘留(こうりゅう)」とは、「刑務作業が科されず身柄だけが短期間にわたって拘束される自由刑の一種」を意味しています。「拘留」というのは、「1日以上1ヶ月未満(29日以下)」の短期間にわたって、身柄を拘束されて行動の自由を奪われる刑罰の一種なのです。

「懲役・禁固」の有期刑の場合は、「1ヶ月以上20年未満」の身柄の拘束になるので、それと比べると「拘留」は拘束軌間が短いのですが執行猶予がつかずに必ず実刑判決になるという違いがあります。

「拘留」の対象になるのは、侮辱罪・公然わいせつ罪・暴行罪・軽犯罪法違反などですが、実際の刑事裁判で「拘留」の判決が下されるケースは極めて少なくなっています。

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「刑務所・留置場・拘置所・懲役・禁固・拘留」の違いのまとめ

「刑務所」というのは「刑事裁判で自由刑の有罪判決を受けた被告(受刑者)を収容するための刑事施設」のことを意味していますが、「留置場」は「まだ刑事裁判を受けていない逮捕された被疑者を一時的に抑留するための警察署内にある刑事施設(警察が管轄する施設)」であるという点が違っています。

「拘置所」というのは、「主にまだ刑事裁判の判決が出ていない未決囚や死刑囚を収容するための刑事施設(法務省が管轄する施設)」であるところが、「裁判が終わって判決が出た受刑者を収容する刑務所」や「警察署内で一時的に被疑者を拘留する留置場」とは違っています。

「懲役」とは「刑務作業を科される1ヶ月以上20年未満の自由刑」、「禁固」とは「刑務作業を科されない1ヶ月以上20年未満の自由刑」、「拘留」とは「刑務作業を科されない1日以上1ヶ月未満(29日以下)の執行猶予なしの自由刑」を意味しているところにそれぞれの違いがあります。

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