嘘も方便
(うそもほうべん)
[意味]
物事を円滑に進めたり、人を傷つけないようにしたり、人間関係の対立を防ぐためには、敢えて嘘をついたほうが良い時・場合もあるということ。
『嘘』はどんな場合にも絶対に許されない悪事ではなく、嘘が許されるような場合・状況・相手もあるということである。
ただし、自分の利益や都合のために人を騙すような嘘には使えない。相手のためや事態の改善のために嘘をつく場合に用いられることわざである。
『方便』とは、仏が衆生を悟りに導くために用いるさまざまな方法・手段のことである。転じて、ある目的を達成するための便宜的な方法を意味するようになった。
[類義のことわざ]
嘘つき世渡り上手(うそつきよわたりじょうず)、 嘘も重宝(うそもちょうほう)、 嘘も追従も世渡り(うそもついしょうもよわたり)、 嘘も誠も話の手管(うそもまこともはなしのてくだ)、 嘘をつかねば仏になれぬ(うそをつかねばほとけになれぬ)
[対義のことわざ]
嘘つきは泥棒の始まり(うそつきはどろぼうのはじまり)、 嘘を言えば地獄へ行く(うそをいえばじごくへいく)、 嘘をつくと腹に竹が生える(うそをつくとはらにたけがはえる)、 正直は一生の宝(しょうじきはいっしょうのたから)
[英語のことわざ]
The end justifies the means.
(目的・結果は手段を正当化する。)
[用例]
重病で苦しんでいる母に、弟の犯罪について正直に伝えることはできず、『嘘は方便』で海外の仕事が忙しくてなかなかお見舞いに来れないとだけ伝えておいた。
傷ついていたあの時の私のことを思って、彼は『嘘も方便』で本当の別れの理由を伝えないまま姿を消してしまった。
参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)
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