大男総身に知恵が回りかね
(おおおとこそうみにちえがまわりかね)
[意味]
体ばかりが大きくて、知恵のない人や役に立たない人を嘲笑う(あざわらう)ことわざである。
『総身』とは、体全体という意味である。大男は体が大きい分、全身に知恵が行きわたらず、何をするにしても頭の回転が遅く愚鈍であることを嘲っていった川柳の一部である。
川柳(せんりゅう)では、『大男総身に知恵が回りかね』の後に『小男の総身の知恵も知れたもの』と続けられる。
[類義のことわざ]
独活の大木(うどのたいぼく)、 大男の殿(おおおとこのしんがり)、 大男の見掛け倒し(おおおとこのみかけだおし)、 大きな大根辛くなし(おおきなだいこんからくなし)
[対義のことわざ]
小男の総身の知恵も知れたもの(こおとこのそうみのちえもしれたもの)、 山椒は小粒でもぴりりと辛い(さんしょうはこつぶでもぴりりとからい)、 小さくとも針は呑まれぬ(ちいさくともはりはのまれぬ)、 細くても針は呑めぬ(ほそくてもはりはのめぬ)
[英語のことわざ]
Big head, little wit.
(大頭に小知恵。)
A tall man is a fool.
(大男・背の高い男は愚かである。)
Seldom is a long man wise or a low man lowly.(背の高い利口者や背の低い謙遜家はほとんどいない。)
[用例]
小さなころから身長ばかり高くて、勉強もスポーツも苦手だったことから、いつも『大男総身に知恵が回りかね』とバカにされるのがつらかった。
『大男総身に知恵が回りかね』とはいうが、背が高いか低いか、大きくてがっちりしているか否かによって、人間の知性や能力の高低が決められてしまうわけではないのだ。
参考文献
時田昌瑞『岩波 ことわざ辞典』(岩波書店),『新明解故事ことわざ辞典』(三省堂),日向一雅『ことわざ新辞典』(高橋書店)
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