医療・助産の業界で働く専門性の高い仕事(国家資格を持つ仕事)として、「看護師・保健師・助産師」がありますが、それぞれの仕事の内容の違いを正しく知っているでしょうか?
病院(クリニック)で医師の指示を受けながら実務的・補助的な業務をしている看護師はイメージしやすいですが、保健師・助産師が具体的にどのような仕事をしているのかは分かりにくいかもしれません。看護師と准看護師の違いについても解説しています。
この記事では、「看護師・准看護師・保健師・助産師」の違いを詳しく説明していきます。
「看護師」とは?
「准看護師」とは?
「保健師」とは?
「助産師」とは?
「看護師・准看護師・保健師・助産師」の違いのまとめ
違いの事典:1
「看護師(かんごし)」とは、医師が患者を診察・治療する時に補助的業務を行なったり、傷病者・入院者に対して医療行為の補助および日常生活の援助などの看護業務を行ったりする専門的な職業・資格のことです。
「看護師」というのは、「医師の指示を受けながら患者の医療行為(診療)を補助したり、患者の身体的・精神的・生活補助的なケアを行なったりする看護業務を行う専門的な職業・国家資格」なのです。「看護師」も、医師の医療ではなく看護に分類される業務であれば、自己判断で看護を行うことができます。
「看護師」は1948年に出された「保健婦助産婦看護婦法」では、男女共に「看護婦」と呼ばれていました。1968年にこの法律が改正されて、女性は「看護婦」、男性は「看護士」という呼称に変わりました。
2001年にさらに法改正されて、法律自体が「保健師助産師看護師法」に名称が変更となり、男女の性別で呼び方を区別することがなくなり、男女どちらも「看護師」と呼ぶことに決められました。
「准看護師(じゅんかんごし)」とは、国家資格である「看護師」とは違い、都道府県の地方自治体が管轄する公的資格・職業のことです。
「准看護師」の資格は各都道府県が主催する資格試験に合格することで手に入れることができ、准看護師の免許自体も各都道府県の知事から交付される形になります。
「准看護師」は「看護師」よりも取得しやすく一段格が落ちる資格にはなりますが、病院(クリニック)における看護業務では両者に明確な違いはありません。つまり、看護師にだけできて「准看護師」にはできない看護業務はありません。
ただし「准看護師」は「看護師」と違って、「自己判断(自己裁量)での看護業務ができず、医師・看護師の指示を受ける必要がある」という違いはあります。
「保健師(ほけんし)」とは、地域活動・保健指導(健康指導)などを行いながら、「疾病(病気)の予防活動・医療や健康の啓発活動・健康維持管理のための支援や助言」を行っている専門的な職業・資格のことです。
「保健師」の分類として、地域の保健所・区役所・市役所などで公務員として働く「行政保健師」があります。「行政保健師」以外にも、会社の医務室・健康相談室などで働く「産業保健師」、学校の保健室で生徒の軽い傷病のケアや健康指導を行う「学校保健師」などがあります。
「保健師」は「保健師助産師看護師法」で定められている国家資格を持っている職業ですが、2007年の法改正によって「保健師」の国家試験を受験するためには、「看護師」の国家資格をすでに所有していることが必要条件になりました。その法改正以前は、「保健師」の資格のみで看護業務も行うことができました。
「助産師(じょさんし)」とは、「女性の妊娠・出産・育児の各段階において必要なアドバイス(助言)や保健指導、分娩介助(出産支援)を行う専門的な国家資格・仕事」のことです。「助産師」は現時点において、「女性のみにしか受験資格のない国家資格(女性しか就業することができない仕事)」です。
「助産師」は近代的な資格制度が設けられる以前は「産婆(さんば)」と呼ばれていましたが、女性が正常分娩する場合(手術・輸血などの医療行為が不要な出産の場合)に分娩介助や出産支援をすることが重要な職務になっています。
「助産師」は出産支援だけではなく、出産後の心身のケアや育児相談まで総合的に担う、妊娠出産・育児に関する専門的な職業・資格なのです。日本で合法的・職業的に助産行為を行うことが許されているのは、「医師(特に産科医)」と「助産師」だけです。
2007年の法改正によって「助産師」の国家試験を受験するためには、「看護師」の国家資格をすでに取得していることが必要条件になりました。その法改正以前は、「助産師」の資格のみで看護業務も行うことができました。
「看護師」とは、「医師の診療を補助したり傷病者・入院者をケアしたりする看護業務を行う専門的な国家資格・仕事」のことを意味しています。「准看護師」というのは、「看護師よりも立場・権限が弱くなる看護業務を行う専門的な公的資格・仕事」のことを意味している違いがあります。
「看護師」は「自己判断による看護業務」を行うことが許されていますが、「准看護師」のほうは「医師あるいは看護師の指示・助言を受けてから看護業務を行う」という違いもあります。
「保健師」と「助産師」はそれぞれの国家資格を単独でいきなり取得することはできず、「看護師の国家資格を持っていること」が「保健師・助産師の国家資格試験を受けるための必要条件」になっています。
「看護師」は「広義の看護業務」を行う仕事ですが、「保健師」は「地域住民の健康維持管理のための活動・感染症などの疾病予防のための取り組み」を行う仕事、「助産師」は「女性の妊娠出産・育児に関連した総合的なバックアップ(分娩介助含む)」を行う仕事という「仕事内容の違い」も指摘できます。
トップページ> Encyclopedia> 違いの事典:1
日本の古典文学> ことわざ事典>現在位置
プライバシーポリシー